あらすじ_20_02

技術部門に戻ることが確定してから、行政官は生き生きと過ごしているように見えた。大気探査船が完成し、行政官は週次の会議の場で説明を始めた。
大きさは木星上層大気からヘリウム3を採取している原子力ラムジェット機と変わらないが、高性能な核融合ラムジェットを搭載し、
大気のかなり深いところまで降下し、強烈なパワーで木星の重力を振り切り、再度大気圏外まで上昇可能な能力を備えていた。
加速の際のGと木星の重力に人間は耐えきれないだろうと、操作は軌道上の作業プラットフォームからリモートで行われる予定である。
目新しい仕組みとして、人間の代わりに操作を行う分身ロボットが操縦席に組み込まれていた。フルオートの自立操縦モードも検討されたが、
木星大気中の苛酷な状況に、リアルタイムで対応可能かどうか疑問があった。とはいえ人間のパイロットが乗り組むのはリスクが高すぎる。
分身ロボットはシミュレータの中で訓練が行われていた。隣の席には人間のパイロットがセンサーバッドでロボットに繋がれていて、
ロボットは人間の思考、反応をすべて習得しようとシミュレーターの木星の風景の中で格闘していた。



あらすじ(20)表紙へ