あらすじ_20_04
本来は増えすぎた人口問題の解消を目的として作られたスペースコロニーだったが、完成後には誰を入居対象にするかで
世論は大きく揉めることになった。地球人口100億人に対して、2基のシリンダー型コロニーの収容能力はわずか10万人。
技術革新により予定よりも速く完成したものの、10年かけてようやく10万人。続くコロニー建設はまだ始まったばかりで完成は8年後の予定。
全世界に蔓延した感染症が居住者の選定を難しくしてしまった。参画各国からの公平な人数枠という当初の理想は自国第一主義を理由に頓挫。
そこで、居住者選定条件をいったん白紙にした裏で、感染していない健康な人間のみをひそかに人選して居住させるプランが実行された。
生き残りのための策は他にも開始された。月、火星、木星の居住地での受け入れ、さらに長期的な生き残りを賭けて、太陽系外への移住プランもあった。
移住対象の星の選定については、10光年以内の星がリストアップされ、小型探査機の送り込みに続いて大型の探査機の派遣、
机上のプランだった数百年かけての移民も具体化の段階に達していた。巨大宇宙船の建造目的とレポートの内容が理沙の頭の中で全てつながった。