あらすじ_20_06
大気探査船のテスト予定日が決まり、前任の行政官は日々を忙しく過ごしていた。数日前に後任の行政官との交代式の時に
2人は親しく握手をしたのだが、目は笑っていなかった。彼も理沙同様に何か異質なものを感じ取っていた。交代後はひたすら仕事に集中し
作業プラットフォームEの格納庫から大気探査船が引き出される日がやってきた。テストを翌日にひかえ、会議の場でテストの詳細説明が行われた。
行政官を前にして、前任の行政官からの説明は少々ぎこちなかったが、行政官は次々にテスト内容について気になる事を次々に質問し、
2人の会話のやりとりを会議室の面々はひやひやしながら観察していた。ひととおり質問を終えると、満足げに行政官は椅子に深く座った。
新任の行政官は、徐々に本性を現し始めていた。理沙は行政官から唐突に、政府のタスクチームが作成した世界終局に関するレポートについて
意見を求めてきた。理沙が目を通していることを既に知っているかのようだった。感想について語ると、しばらく考えたのちに
木星は世界全体にとって近々重要な場所になるとだけ述べると執務室に戻って行った。理沙は自分の考えを見透かされているような気がした。