あらすじ_20_19
巨大宇宙船を建造した、小惑星をくり抜いたドックで、新たな船の起工式が行われようとしていた。広々としたがらんどうの空間の中に1隻の工作船。
式典はごくごく小規模なもので、立会人は数名、地上で見守る人含めても数十人。軍の案件であることから地球から離れた
太陽/地球L3で秘密裏に行われる事になった。今回建造されるのは全長800メートルの揚陸艦2隻。自動化プラントにより2年弱で完成する予定で、
元々は理沙も一時在籍していた軍の揚陸艦設計のタスクチームのプランで、巨大宇宙船のプランのために一旦は停止となったが、
プランは粛々と進み、巨大宇宙船に注目が集まっている間に、タスクチームは詳細設計を済ませ、建造のための手配を完了させた。
地球のワシントンから、国防長官がリモートで起工式の訓示を行い、工作船の中央監視室でスイッチが入れられるとプラントは稼働を始めた。
開始の知らせがワシントンに届くと、国防長官は自分のデスクで天井を眺めながら、これから先のプランと選択肢について考え始めた。
タイマーのスイッチが入れられて、カウントダウンが始まったような心境だった。カウントゼロになった時にいったい何が起きているだろうか。