あらすじ_23_02
最悪の事態を想定し、理沙は具体的な動きを早速始めた。生き残るためのプランは既に理沙の頭の中にあり、淡々と各セクション長に指示する。
食料と水については確保は完了していた。宇宙船をシェルターとして活用し、6つの作業プラットフォームには最低限必要な要員のみ配置し、
生産活動を継続できる体制も確立した。宇宙船が唯一の生活拠点となることによるリスクはあるが、もともと揚陸艦の設計思想で建造されているので
耐久性は問題ないと考えた。ただし、外部からの攻撃を想定して船体前面に衛星から採取した氷のパネルを貼りつけることとし、
大出力レーザーの熱量に耐えられるようにした。最悪、居住区ブロックだけは死守することとし、重要部分の装甲を強化した。
中核部品の製造が可能になったので、レーザー発振基地のパーツはすべて揃い、建設のための準備はすべて整った。
政府の反応はまだ異常なほどに静かだった。理沙の行政官への就任について非難する声明はあっても、具体的な行動がいまだに見られない。
とはいえ、具体的な行動が始まってからでは遅すぎる。政府の行動に目を光らせつつ、理沙は昼夜問わず現場作業の進捗を見守った。