あらすじ_23_04
理沙の行政官への就任後、前行政官との会話の機会は減った。特に最近はレーザー発振基地の建設の進捗ばかりに気を取られ、
まずは理沙はしばらくの間会話できていなかったことを前行政官に詫びたうえで、現場を纏めるためにも力を貸してほしいと申し出た。
苦々しい表情ではあったものの、前行政官は気持ちの整理がついたのか、またはもう逃げ場がないことに覚悟を決めたのか、
理沙に協力することを承諾した。今では地球に向かい療養が決まっている元行政官については、もともとそりが合わなかったことと、
軍出身者にトップを牛耳られていることへの反発が、非協力的であったことの原因であることがわかると、理沙は立場を超えて窮地を乗り越えたいと
自分の本心をすべてさらけ出した。実施主任と協力し、宇宙船と作業ステーションの防御強化のために現場を纏めることを前行政官に要請し、
これで現場の動きが良くなるとほっとしたのもつかの間、理沙は大佐から呼び出されて会議室に向かった。会議室では既に直子が待っており、
ディスプレイ画面では合衆国大統領の会見が始まっていた。45分の時間差での会見だったが、冷え切った空気が画面越しに伝わってくる。