フェリー・中小型シャトル

宇宙空間の作業現場では、長距離の輸送を担当する貨物船やタンカー、惑星と衛星の間の荷物や人員輸送を担当する宇宙船の他に、
惑星や衛星の周回軌道上の作業プラットフォームの間の人員移動、貨物輸送を担当する宇宙船があります。
いわば現場の業務を支える裏方のような存在です。

この小型シャトルは、人員や貨物の輸送を担当するものとして作られ、
使用目的に応じて自由に形を変えることが可能になっています。下の図は一番基本的なタイプの構成です。
船体の構成は、先頭に操縦席のある指令モジュールがあり、その後ろには居住モジュール、その後ろには推進剤タンクと推進システムがあり、
個々に切り離したり再構成したりする事ができます。

全体のイメージ図
小型シャトルの各コンポーネントについて説明します。
船体は、指令モジュール、居住モジュール、推進剤タンクモジュール、推進システムモジュールの4つで構成されます。

<指令モジュール>
  ・コクピット、制御システム
  ・エアロック
  ・電源装置

<居住モジュール>
  ・エアロック
  ・耐圧外壁
  ・空気/水リサイクルシステム、空調装置
  ・乗組員用個室
  ・貨物倉庫、水/酸素タンク
  ・トイレ/有機物リサイクルシステム
  ・電源装置

<推進剤タンクモジュール>
  ・推進剤用タンク
  ・電源装置
  ・加圧装置

<推進システムモジュール>
以下の3つのタイプから選択可能
(図に記載したものは、燃焼式推進システム)
●燃焼式推進システム
  ・電動式ポンプ
  ・燃焼室
  ・噴射ノズル
●比推力可変プラズマ推進システム(VASMIR)
  ・小型原子炉
  ・ラジエーターパネル
  ・プラズマ推進用ノズル
●原子力推進システム
  ・電動式ポンプ
  ・原子炉/噴射ノズル

各モジュールの組み合わせにより様々な宇宙船の構成が可能です。ここでは代表的なパターンをいくつか示します。

1.旅客輸送用シャトル(40人~200人乗り)
  作業プラットフォーム間での人員/貨物輸送を行うもの。


<構成>

●船体前部
  指令モジュールと居住モジュールで構成される。
  先頭に接続された指令モジュールで船全体の操作を行う(2人のオペレーターが操作する想定だが、無人での運用も可能)
  指令モジュールに接続した居住モジュールには、乗客用の荷物置き場、食堂等を設置する。収容人数に応じて1つ~3つ接続する。

●船体中央部
  船体構成用剛性フレーム(宇宙船の図左下)、旅客用モジュール(宇宙船の図右側)で構成される。
  旅客用モジュールは最大40人が収容可能で、独立した空気/水リサイクルシステムと動力装置を持つ。
  ※上記の図は80人搭乗する想定であるが、最大構成では旅客用モジュール5つ構成で200人搭乗が可能

●船体後部
  居住モジュールと推進剤タンクモジュール、推進システムモジュールで構成される。
  居住モジュールには乗客用の貨物に加えて、酸素/水/食料等の生活必需品を収納する。収容人数に応じて1つ~3つ接続する。
  推進剤タンクモジュールは、1つ~3つ接続が可能。上記図の推進システムは燃焼式(酸素/メタン)推進システムを選択。


2.多目的作業船/事故救助船
  惑星/衛星周回軌道上で、宇宙船に対して荷物輸送/修理/救助活動を行うもの。


<構成>

●船体前部
  指令モジュールと居住モジュールで構成される。
  居住モジュールにはエアロックが接続され、船外活動のために作業員が出入りする事が可能。

●船体中央部
  船体構成用剛性フレーム、旅客用モジュールで構成され、フレームの外側にはペイロード取付用のハードポイントを装備する。
  旅客用モジュールは、作業員の寝泊まり、荷物倉庫、救助時の遭難者収納用等様々な用途に使用する。必要に応じて1つ~3つ接続する。

●船体後部
  居住モジュールと推進剤タンクモジュール、推進システムモジュールで構成される。
  居住モジュールは貨物置場、酸素/水/食料品等の生活必需品の収納、作業員用エアロックを接続する。
  推進剤タンクモジュール、推進システムモジュールについては、1.旅客輸送用シャトルと同様に構成の選択が可能。


3.コンテナ輸送用
  作業プラットフォームに接岸したコンテナ船からコンテナを受け取り、別な作業プラットフォームや基地へと輸送する。
  またはその逆に、各作業プラットフォームや基地からコンテナを受け取り、コンテナ船が接岸する作業プラットフォームへと輸送する。


<構成>

●船体前部
  指令モジュールと居住モジュールで構成される。
  居住モジュールは、オペレーターが寝泊まりする個室、酸素/水/食料品等の生活必需品を収納する。

●船体中央部
  船体構成用剛性フレームと船体後部へ移動するためのパイプスペースのみで構成される。
  剛性フレームは、標準型25メートルコンテナ(上記図の中央)に合わせて設計されているので、剛性フレームの外側にハードポイントを取り付ける事で
  コンテナの接続が可能。1つの剛性フレームには4つのコンテナが接続可能である。
  最大構成では5つの剛性フレームを接続可能であり、最大20個のコンテナを輸送することができる。

●船体後部
  推進剤タンクモジュールと推進システムモジュールで構成される。
  推進剤タンクモジュール、推進システムモジュールについては、1.旅客輸送用シャトルと同様に構成の選択が可能。



「各種考察」メニューへ