土星探査船「長征」

宇宙船「エンデヴァー」に対抗するものとして、中国も2050年代に深宇宙探査用の宇宙船の建造を進めていました。
木星探査船「楊貴妃」の成果については、中国国内では公式にはうやむやにされていましたが、
西側諸国連合が木星/土星の本格的な探査を目的とした宇宙船を建造している事を公表すると、
中国は木星探査一番乗りは我が国であり、今後土星探査を目的とした宇宙船建造に注力するとの計画を公表しました。

この事は「エンデヴァー」の建造を急ぐ事につながり、また、中国が土星へ宇宙船を向かわせた時には、
「エンデヴァー」は木星探査作業を中断し土星へと向かうという、突然のプラン変更につながる事になりました。

中国の土星探査船「長征」の全体イメージ図を以下に示します。
外見のデザインは「楊貴妃」を踏襲していますが、居住設備や制御システムについては全面的な再設計が行われ、
推進システムについては、高性能の核融合推進システムが装備され、地球から土星まで6カ月で到着可能とすることを目標にしています。

全体のイメージ図
土星探査船「長征」の各コンポーネントについて説明します。

詳細は「
土星探査船(中国)」もあわせて参照してください。
<指令/居住/作業区画>
●指令区画
  ・コクピット、制御システム
  ・ドッキング用通路

●居住区画
  ・乗務員用個室
  ・休憩室、アスレチックルーム
  ・食堂、キッチン、会議室
  ・ユニットバス、トイレ

●作業区画
  ・作業メンテナンス室
  ・探査機格納庫
  ・着陸船格納庫

<連結構造物>
●連結トラス構造
  ・電源/制御ケーブル用パイプスペース
  ・保守作業用連絡通路
  ・通信用アンテナ

<動力制御/生産区画>
●生産区画
  ・水、空気リサイクルシステム
  ・水耕栽培システム
  ・廃棄物再利用/微生物培養/食料生産システム

●制御システム
  ・電力制御
  ・原子炉制御
  ・核融合炉制御

<貯蔵タンク群>
●貯蔵タンク群
  ・酸素/水素/メタン貯蔵タンク
  ・ヘリウム3貯蔵タンク
  ・水貯蔵タンク

<動力/推進システム区画>
●動力区画
  ・原子炉
  ・ラジエーターパネル
  ・荷電粒子保護用磁気シールド
●推進モジュール
  ・核融合推進システム2基


「エンデヴァー」と「長征」を並べて、大きさとスペックを比較し以下に示します。
(下記図の上が「エンデヴァー」、下が「長征」)


<宇宙船「エンデヴァー」>
・全長:320m
・全幅:160m
・総重量:7,800,000kg/7,800トン

・乗組員:12名
・最大速度:250km/s
・最大推進力:1,920KN(200トン)

<宇宙船「長征」>
・全長:210m
・全幅:100m
・総重量:4,100,000kg/4,100トン

・乗組員:6名
・最大速度:270km/s
・最大推進力:980KN(100トン)



「各種考察」メニューへ