木星・有機化合物生産プラント
木星の有機化合物生産プラントは、木星大気中に大量に存在する有機化合物を採取/精製することで、木星周回軌道上や衛星に住む人々に
食料含めた生活必需品を生産するための原料を供給するために作られたものです。
2080年代から本格化した核融合燃料の生産、および2100年代から本格的に始まった木星本体からの資源調達により、
木星に住む人々は、地球に頼る事のない生活を確立することができました。この生産プラントはある意味木星に住む人々の自主独立の象徴のようなものです。
木星の有機化合物生産プラントの全体図を以下に示します。
詳細は「木星・有機化合物生産プラント」もあわせて参照してください。
全体のイメージ(横から見た図) |
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全体のイメージ(上から見た図) |
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有機化合物生産プラントは、浮力を発生させるために核融合エネルギーによる大量の熱を利用しています。
プラントを支える1つ1つの浮力ユニットは以下の図に示したようなもので、木星周回軌道上の作業プラットフォームで準備が行われ、
木星大気中に投下されたのち、大気中で熱気球のようにエンベロープを展開し核融合炉を起動、浮遊しながら他の浮力ユニットと結合します。
核融合浮力ユニットのイメージ(上:木星大気突入時/中央:フェアリング展開時/下:エンベロープ展開時) |
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<浮力ユニットの構成/上中央のフェアリング展開時の図を参照、> ※上図中央のフェアリング展開時の図を参照、以下、図の左から各コンポーネントについて説明 ●耐熱シールド ●浮力ユニット ・小型モジュール核融合炉(核融合ラムジェト機の核融合炉を転用) ・大気加熱ヒーター/大気取り入れ口 ・ヘリウム3/水素タンク ・制御システム ●有機化合物抽出/精製装置、浮力ユニット間結合装置 ●フェアリング ●熱気球エンベロープ ●減速用パラシュート |
浮力ユニットが木星大気に突入し、熱気球のように大気中を浮遊するまでの工程について説明します。
大気中を降下する際には、木星周回軌道上のJGPS(木星GPS)の助けにより飛行コースを精密誘導されています。
これにより、個々の浮力ユニットは広大な木星の空で比較的短時間で合流することが可能となっています。
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<木星大気突入時> 耐熱カプセルに包まれた浮力ユニットは、 木星大気に突入し高温状態になりつつ減速する |
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<パラシュート展開時> ある程度減速したところでパラシュートを展開 降下速度をさらに落とす |
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<フェアリング展開時> 降下速度が十分に落ちたところでフェアリングを展開 熱気球エンベロープを引き出す |
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<核融合炉起動時> エンベロープの引き出しが完了すると耐熱シールドを投棄 核融合炉を起動し外気を加熱しながら取り込む |
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<エンベロープ展開中> 加熱された外気がエンベロープ内に取り込まれると 徐々に浮力が発生し降下速度がさらに低下する |
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<エンベロープ展開完了、浮遊中> エンベロープが十分に展開すると上昇を開始する 木星の気流にのりながら合流ポイントへと向かう |
エンベロープの展開が完了し、浮力ユニットは熱気球のように上昇/降下を行い木星の気流を利用しながら飛行します。
JGPSからの位置情報を利用し、浮力ユニットは合流ポイントまで移動します。
以下は、浮力ユニットが25基結合した状態になります。
この25基結合したものを6基結合し、中央に貯蔵タンクと核融合ラムジェット機の接岸機器を接続することで有機化合物生産プラントが完成します。
核融合浮力ユニット結合時の状態(25基結合状態) |
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22世紀の半ばには、当生産プラント100基体制が確立し、木星は地球に頼る事のない自主独立の体制が実現しました。
核融合燃料生産を取引材料として、木星の居住地は太陽系の交通の要所として繫栄することになりました。
しかしながら、地球上で秘密裏に開発が進められていた量子真空エネルギーの実用化が22世紀後半から本格化すると、
木星の有利な立場は徐々に揺らいでいくことになりました。