では、008-04の以下小説化された本文の、あらすじ作成(400字程度)をお願いします。
●008-04:木星への出発
準備の日々は、気づけばあっという間に過ぎていた。
細かな調整と確認を繰り返す時間は長く感じられたはずなのに、振り返れば一続きの流れのようにしか思い出せない。
そして出発当日を迎える。
コクピットでは、船長席にレイナ、パイロット席にエドガーが着いている。
会議室には船長とブルーノ。他の8人は、それぞれ居住区画の自室で待機していた。
不測の事態に備え、全員がすぐに対応できる状態にある。
「エンデヴァー」はすでに地球/月L1の作業プラットフォームを離れ、地球に向けて落下する軌道に乗っていた。
窓の外に広がる黒の中で、わずかな光の変化だけが、その移動を示している。
理沙は自室のディスプレイに中央制御室のコンソールを呼び出し、推進システムの状態を確認していた。
プラットフォームを離脱してから、低出力での作動は何度か実施しているが、異常はない。
表示される各パラメータは安定しており、数値の変動も許容範囲内に収まっている。
やがて地球に最接近する直前、100パーセント出力での噴射を開始し、地球の引力を利用して進路を木星へと合わせる。
すべては事前に組まれた手順通りだった。
「一時間前」
船内放送に乗って、レイラの声が静かに響く。
その一言で、理沙は背筋をわずかに伸ばした。
視線をディスプレイに戻し、もう一度各系統の状態を確認する。
余計な動きはない。必要なことだけを、ひとつずつ確実に。
最終確認の段階に入る。レイラが各担当へ順に呼びかけていく。
制御システム、船内環境、航法・通信。それぞれの担当から、短い「Go」の返答が返ってくる。
「推進システム」
理沙は即座に応答した。
「Goです」
間を置かず、レイラが船長に向けて言う。
「準備完了しました」
数秒の沈黙。そのわずかな時間が、船内の空気を少しだけ引き締める。
「では、出発」
船長の声は落ち着いていた。
特別な強調もなく、ただ事実を告げるように。
レイラがその指示を受け、システムに対して出発命令を入力する。
理沙の目の前のコンソール表示が、出発時の準備モードへと切り替わった。
シミュレーションで何度も見た画面。
しかし今回は現実の操作である。システムが読み上げる出力値に合わせ、数値がゆっくりと上昇していく。
すべてが予定通りに進行している。
やがて、身体に変化が訪れた。シートに押し付けられるような感覚。加速Gがかかり始めている。
そのとき、ディスプレイの脇に吸盤で固定されていた小さなフォトプレートが、ゆっくりと剥がれ、落ちてくるのが見えた。
理沙は片手を伸ばし、それを受け止める。
プレートには、理沙ともう一人の女性が写っている。
港の夜景を背にした一枚。
ほんの一瞬だけ視線を落とし、そのまま壁に取り付けられたバッグの中へとしまい込んだ。
その後の工程は、すべてが予定通りに進んだ。
加速は安定し、各システムの数値も乱れない。
窓の外では、地球がゆっくりと遠ざかっていく。視界の中ではすでに、バスケットボールほどの大きさにまで縮んでいた。
「エンデヴァー」は夜の側へと入り込み、地球の影をなぞるように進んでいる。
引力の働きによって進行方向がわずかに変わり、やがて木星へと向けて一直線の軌道に乗る。
「100パーセント出力」
システムの読み上げと同時に、理沙はコンソールの表示を確認する。
「こちらでも確認。異常なし」
短く報告する。その声は、いつもと変わらない調子だった。
地上では、夜空に長い光の尾を引いて飛ぶ「エンデヴァー」の姿が観測されているはずだった。
会議室では、船長とブルーノが船外モニター越しに、ゆっくりと遠ざかっていく地球を見つめている。
やがて、壁面ディスプレイのマルチ画面の片隅に、小さな時計表示が現れた。
木星到着まで、あと61日と3時間。
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