では、008-26の以下小説化された本文の、あらすじ作成(400字程度)をお願いします。
●008-26:生存シミュレーション(2)
壁面ディスプレイに、2つの機体が重なるように飛んでいる映像が表示されていた。
本来なら、ありえない配置だった。
下側にいるのは、木星大気調査用に開発された原子力ラムジェット機。そして、その背中に載せられているのは、タイタン着陸船。
会議室の誰も、最初の数秒は口を開かなかった。
奇妙な光景だった。
しかし、その異様さとは裏腹に、ブレントの説明は冷静だった。
「この方法です」
彼は、木星で使用されなかった原子力ラムジェット機を利用した、別プランの説明を始める。
原子力ラムジェット推進システムは、木星上層大気での運用を前提として設計されている。
そのため、タイタン大気中での飛行については、推力・耐熱・制御余裕のすべてにおいて十分な性能を持っていた。
問題は別のところにある。
「この機体は無人機です」
ブレントが画面を切り替える。
内部構造図。
操縦席は存在しない。生命維持装置もない。
「そもそも着陸機能を持っていません」
タイタンへ降りることを想定していない。
離陸し、大気中を飛行し、サンプルを回収し、帰還する。
それだけに特化した機体だった。
だからこそ、本来なら救助には使えない。
しかし、その制約を前提にしたうえで、ブレントは実現可能なプランを提示していた。
着陸船側が限界高度まで上昇する。
同時に、「エンデヴァー」から切り離された原子力ラムジェット機が降下。
タイタン大気中で両者を合流させる。
そして、着陸船を“背負った状態”で、原子力ラムジェット機が上昇を続ける。
説明が終わっても、誰もすぐには反応しなかった。
理論としては成立している。
だが、成立していることと、成功することは別問題だった。
翌日。
トリスターノとアルヴィンは船外活動服を着込み、原子力ラムジェット機の改造作業を開始した。
作業そのものは単純だった。
原子力ラムジェット機の胴体上面2か所、そしてデルタ翼上面2か所に、着陸船固定用のハードポイント金具を取り付ける。
本来、「エンデヴァー」と着陸船を固定するために使用されていた予備部品だった。
指定位置の耐熱材を剥がし、内部構造材へ直接ボルト固定する。
作業内容だけ見れば、大掛かりな整備というより、工作作業に近い。
「日曜大工のレベルだな」
ブレントはそう言っていた。
もちろん、その“日曜大工”に失敗すれば、すべて終わる。
トリスターノは固定用トルク値を何度も確認しながら作業を進め、アルヴィンは無言のまま補助を続けていた。
誰も余計な会話はしない。
会議の場で、皆が納得したうえで始めた作業だった。
だから反対意見はない。
それだけだった。
まだ誰も、「助かる」とは思えていない。
だが、今は目の前の作業を一つずつ終わらせるしかなかった。
同じ頃。
理沙とブルーノは、原子力ラムジェット機側の制御データモデル最終調整を続けていた。
着陸船をタイタン大気中で空中捕捉するための、新しい飛行モデル。
FSDD技術部から送られてくるアセスメント結果。
「エンデヴァー」のメインによるシミュレーション結果。
その二重チェックを繰り返しながら、データモデルは少しずつ完成へ近づいていく。
画面上では、着陸船が最高到達高度へ達する軌道が描かれていた。
そこへ向けて、原子力ラムジェット機が降下する。
両者の位置を一致させた瞬間、着陸船はエンジン停止。
そのまま自由落下に近い状態で原子力ラムジェット機背面へ結合。
その後、原子力ラムジェット機が最大推力で上昇を継続する。
何度シミュレーションを繰り返しても、余裕はほとんどなかった。
タイミングが少しでもずれれば失敗する。
結合位置がわずかに狂えば破損する。
推力制御を誤れば、その場で空中分解する可能性すらある。
会議の場で、誰もその言葉を口にはしなかった。
だが全員わかっていた。
リハーサルなし。
文字通り、一発勝負。
さらに、原子力ラムジェット機そのものが想定外運用である以上、未知のトラブルが起きる可能性も高い。
それでも。今はただ、
「理論的には可能である」
その言葉だけを信じて、乗組員たちはそれぞれの持ち場へ戻っていった。
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