3月末の木曜日、理沙は年明けから誘われていたまりあの家での飲み会にようやく訪れる。
HALUCAが用意した高級マンションの静かで厳重な空間に、理沙はまりあがすでに別世界へ進み始めていることを感じる。
2人は赤ワインと和牛で乾杯し、岩塩を選んだ理沙の昔の癖から、赤坂の店で働いていた頃の話になる。
理沙は、友人に誘われて夜の店に入り、客の勧めでマライア・キャリーを歌ったことをきっかけに、店の歌姫になっていった経緯を語る。
まりあはその話を聞きながらも、5月のファーストコンサートへの不安と、一週間前のリハーサル中に倒れた記憶を思い出していた。
理沙はまりあの疲れを見抜き、「疲れてるんだね」と声をかける。
作り笑顔を見せるまりあに、理沙はスマホを差し出し、「ちょっと、聴いてみない?」と切り出す。
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