あらすじ_03_16


試験官が4人、理沙の目の前に座っている。士官を目指したきっかけと今後の抱負といった、想定通りのことを質問され、
理沙も想定された質問に対しての答えを返した。そろそろ終わりの時間と思われたその時、試験官の一人が、
「今までの人生の中で、未練を感じた事は?」と質問してきた。眼光鋭く見つめる彼に、理沙は少しの間考えたが、
しかしなにを血迷ったのか、理沙は「ありません。」ときっぱりと答えてしまった。試験官の目の奥で何かが光る。
未練を感じたことは今まで山ほどあるのだが、正直に答えなかったのは試験官の威圧感からだろうか。面接はそれで終わりになった。
心理テストか、それとも誘導尋問だったのか、理沙は試験官のその質問のことがしばらく頭の中から離れなかった。
試験結果に不安を感じながら待つこと1週間、届いた試験結果のメールを開く。
合格だった。なんともあっけない。取り越し苦労だったようだ。緊張から解放されその日は丸一日寝て過ごしていた。



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