あらすじ_05_07


再び試験官を目の前にして、理沙は前回の二の舞になりたくないと焦りつつも平静さを装っていた。まずは当たり障りのない質問から始まる。
レポートの話題になると、試験官は開口一番に事業的な実現性について尋ねてきた。突拍子もない内容だと否定的な意見もあった。
しかし理沙は、長期的な需要を考えて作ったものであると、考えの背景について説明した。まずは昔立ち寄ったアトランタ空港の話から。
そしてかつては風任せで航路が制限されていた大航海時代が、蒸気船とその後の航空機の発展によりハブ・スポークの形態に変化したこと。
太陽系内も同様で、太陽と惑星の位置と引力に支配されている航海から、核融合動力を使用したハブ・スポークの航路を構築すべきで、
そのことで太陽系内の人類の居住範囲と利用可能な資源が劇的に拡大することを論理的かつ淡々と説明した。
試験官は理沙を直視して、レポートの最後のページに記載されたハブ・スポークの結論について問いかけた。
理沙は、スクリーンに映し出された太陽系内ハブ・スポークの図の中心を指し示す。そこには木星が映し出されている。



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