あらすじ_07_16


次世代制御システムのプロトタイプと理沙の生体インターフェイスを接続し、お互いの思考を共有するテストが行われた。
プロトタイプとして選ばれた人間のプロフィールは、スタッフにも秘密事項である。今回のテストの目的はお互いの思考を巨大なデータプールを介し
イメージとして共有可能かということである。理沙がシートに横たわり目を閉じると、無限に広い空間の中で浮いている状態でいるようだった。
直接目で見る光景よりはぼやけているが、寝ている時に見る夢以上に現実に近い鮮明さだった。
上下に青空と雲が見える不思議な空間の中、思っただけで自分の体を自由に移動できる。しばらく進むと目の前に女性が浮いているのが見えた。
意識をその方向に向けると、しだいにその女性に接近してゆく。徐々に体と顔の輪郭が鮮明になってくる。その女性まであと少の距離に迫った。
イメージは突然そこで途切れた。目を開けてまわりを見回すと慌てている作業スタッフたちが理沙を取り囲んでいた。
いったい何事があったのかとメンタル女に尋ねたが、詳しいことは伝えられないまま作業スタッフたちに理沙の状態を伝えていた。



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