あらすじ_15_05


昔にも同じような体験をしたことを理沙は徐々に思い出していった。何度も倒れそうになりながら手すりにつかまり歩く訓練をする。
歩く訓練と並行して会話の訓練も行っているが、無理してまで会話することは勧められずに、他人が言ったことを理解できることを重要視していた。
脳につながれたモニター装置が脳の活動状態をとらえて、外部からの刺激に対する反応を捉えることが可能だからである。
その後会話は徐々にであるが、自発的な方法で回復に向かっていった。目が覚めてから3か月後には日常生活がほぼ可能になっていた。
歩くことが普通にできるようになり、週に一度面会に来る孫娘と彼女の娘のことが認識できるようになり、その後は急速に回復に向かっていた。
退院の日は決定していなかったが、理沙は毎日病院の中を一人で歩いた。その時、理沙はすれ違う病院内の人々の視線の冷たさが気になった。
主治医にそのことを話したが、直接理沙の質問には答えずに、今はリハビリに集中してもとの生活に戻れるようにと助言されただけだった。
面会に来た孫娘にも同じことを質問したが、答えは主治医とあまり変わりなかった。その翌日、理沙は別病棟に移されることになった。



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