あらすじ_20_01

作業プラットフォームCでも人員整理が終わり、通路を行きかう人が明らかに減った。しかし理沙の思いは既に先々の戦略のことに向いていた。
新任の行政官の木星到着を1か月後に控え、理沙は週次定例会議でインフラ設備の整備状況を確認したあと、行政官と一緒に食事をした。
水資源の確保については、衛星からの供給で賄えるメドがついた。食料も船に装備されている生産設備の能力が十分あることがわかり、
残るは食料の原材料の確保だけだった。衛星の氷や水からミネラル分を抽出する方法、小惑星からの採掘、木星本体からの採取等、
アイディアは尽きなかった。問題は新任の行政官をどうすればうまく巻き込めるかということだった。政府の肝入りであれば早速潰しにかかるだろう。
政府も巻き込めるような他のアイディアはないものか。政府の内部でのとある不穏な動きを理沙は注視していた。
一部の人間だけでも生き残りたいというきちがいじみた考えから発展し、一時は大衆に知られて一気に消滅したと思われたものだが、
一部の知識人、実業家も加わり水面下で粛々と進められてきた案件だった。理沙は後日レポートを行政官に渡すと約束した。



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