あらすじ_20_13

会議から数日が経ち、理沙の案はそれほどに注目されることなく、理沙も最近増え始めた管理業務のため注意はそちらの方に向き始めた。
行政官との雑談の中で、思い出したように長距離レーザー通信システムの話が持ち出された時、理沙は半分忘れかけていた頃だった。
行政官は政府への定期的な報告の際に、理沙の案を持ち出したところ、関心を持った人物がいるということでもう少し具体化しないかと
持ちかけられ、理沙は喰いついた人物が現れたか、というように微笑んだ。先日の会議の時の説明資料は粗い内容なので、
理沙は1週間ほどかけて精緻な内容にすることにした。行政官の反応にはなんとなく裏がありそうだと疑いの気持ちは多少あったが。
公式な案件化されていないので、表立って動くことは難しかったが、事業団の旧知の技術者に何人かアドバイスを求め、
翌週の定例会議の後で、行政官だけに修正版の資料を見せた。技術的な点でいくつか指摘はあったものの、臨時会議の場で
再度この案を検討しようと行政官は理沙の案を受け入れてくれた。2人は握手を交わしたが、理沙は行政官の笑みの背後にあるものを見逃さなかった。



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