あらすじ_20_17

ひと月ほどかけて提案書を書き上げて、理沙と行政官が内容をチェック。議論には熱が入り時間が経つのも忘れるほどだった。
太陽/地球L4案に対抗するためには、技術面と建設コストで優位であることを示す必要があるが、コスト面では太刀打ちできないことはわかっていた。
技術的にも、木星の磁場と高エネルギー帯の利用実績は、軌道上の灯台衛星での小規模利用のみ。無理ではないかと思っていたところ
実施主任は業者の技術者にも手伝ってもらって、大容量発電装置の設計図まで仕上げてしまった。睡眠時間を削ってまでの力作だったが
仕上げた実施主任の表情は明るかった。コストでは対抗できないということはわかっていたが、現場に蓄積された技術力があれば
不可能なものはないと思うと、理沙は非常に心強いものを感じた。その後も理沙と行政官の厳しいチェックは続いたがタスクメンバーは
文句も言わずに対応を続けた。理沙が考えた案は具体的な形となり、技術的な裏付けが積み上げられて設計図となった。
2か月の期限ぎりぎりで、理沙と行政官はようやく承認を出した。事業団長官に提出して数日後、ちょっとした騒動が発生することになった。



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