あらすじ_23_19

大統領は画面の向こうの理沙を見ながら笑みがこみ上げてくるのを抑えられなかった。知恵の働く軍人上がりと思っていたがついに手を出してきた。
先に手を出した方が戦略上不利だという事は今までの合衆国の歴史が証明している。とことん追い込んで相手に宣戦布告させるのは常套手段である。
大統領は国防長官に声をかけ、既に考えてあるオプションの実行を指示した。その後、事は予想通りに先に進んだことをとある人物に伝えた。
木星の行動は身勝手極まりないと、事の真相を理解するはずもない一般市民からは非難の声が沸き上がり、感染症での政府の失態が
最近までの世間の話題の中心だったが、すぐに地球対木星の対立の話題に変わった。大統領には次の一手を考える十分な気持ちの余裕ができた。
翌日に大統領は声明を発表した。人類全体で共有すべきエネルギー資源が、ごく一部の人々の行動で勝手に制限されて、
100億人もの人々に悪影響が及ぶのは、地球国家に対する反乱であり許すことができない事である。すぐに改善されないのであれば
苦渋の決断として地球国家代表としての行動に出なくてはならないと。こうして次々にハードルが上げられ気づいた時にはもう戻ることはできない。



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