029_アイドルになりたくない

●作者のコメント

●ChatGPTのコメント
では、002-12の試し書きをしてみました。

●002-12【試し書き】:アイドルになりたくない

週末は朝から夕方まで土砂降りの雨。
理沙は悶々とした気持ちで自宅で過ごす。そして週が明けて月曜日。
昨日の雨がウソのように雲一つない夏空。朝から30度超えの暑さ。

いつものように快適なオフィスに行き、作業を始める。
目の前の作業グループの島一つが、一人も出社していない。
なにげに社内の掲示板を開くと、組織変更の通知が。
お客の判断で目の前の作業グループのプロジェクトが突然に打ち切りに。
彼らは自宅待機となり、作業グループは組織図からも消えていた。

明日は我が身と思いながらも、気を取り直して作業を始める。
1時間ほど集中すると、先週末のオーディションの事も一時的に頭の中から追い出される。
そんなタイミングでスマホにメールが届く。

<小川です。。。>

一瞬、胸が締め付けられるような気持ちになる。
おそるおそるメッセージの続きを待つ。しかし、送信元は湯浅だった。
理沙が爆弾アイコンつきの怒りのメッセージを返すと、すぐに湯浅から返信。

<まだ、決めないの?>

先日の土曜日の事が思い出される。
理沙たち4人は、まりあと別れると新宿の居酒屋で反省会も兼ねて飲んだ。
湯浅もフィリップも島崎も、やる気満々である。
まだ「HALUCA」と契約を結ぶことには懐疑的ではあったが、柴原社長は自分たちを評価してくれている。
そして、小川はそんなに悪い人間ではなさそうだ。
というのが3人に共通する意見だった。

「でも、うまく説明できないんだけど。。。。」

理沙だけがまだ反対していた。
自分が質問したことに対する、柴原社長の反応が気に入らなかったということもあるが、
気持ちの方向性が合っていないというのもその理由だった。
またか。。。というように、湯浅は苦言を言った。

「まだ社長の本心も聞けていないのに」

世の中を驚かせるような、すごい事を考えているのかもしれない。
その本心を聞き出して、面白そうだと思ったら協力すればいい。
フィリップはいつものようにビッグチャンスだと色めき立っている。

しかし理沙は、音楽の方向性が合っているように思えない、
柴原の操り人形になって、自分たちのやりたいようにできなくなると3人に言う。
すると、今度は3人から反論される。

「それじゃ、理沙はいったい何がしたいの?」

ぼんやりしていた意識が、スマホのメッセージに再び戻る。
湯浅が長々と、土曜日の夜の続きの言葉を書き連ねている。
理沙はメッセージを返す。

<いったん、断ろうよ>

そしてスマホを置いて仕事に集中する。
湯浅から、メッセージへの追伸はそのあとはなかった。

夕方になり、終業時刻近く。
再びスマホにメッセージが届く。

<先日は、どうもありがとうございました>

正真正銘の、小川から4人宛のメッセージだった。

<柴原と検討しましたが、皆さんを採用したいと考えています>

そのあとは、契約に向けての今後の段取りについての説明、
契約書の内容については、あすにでも送りますと書かれていた。

小川とのメッセージの裏で、理沙宛に湯浅とフィリップと島崎からメッセージが届いていた。
3人とも興奮している。
そしてまたいつものように、理沙に判断が任される。

とりあえず理沙は短く小川に返信する。

<小川さん、こちらこそありがとうございます>

電車での帰宅途中で、理沙はじっくりと考える。
最寄り駅のラーメン屋で夕食を食べて、帰宅する。
帰宅すると風呂に入り、風呂に上がってすぐにベッドの上に横になる。

湯浅とフィリップと島崎に、あらかじめ自分の考えを伝えた後で、
小川に追伸のメッセージを書き始める。

<いろいろと考えてみたのですが。。。。>
拝読しました。
002-12はかなり重要な節ですね。ここで理沙が、**HALUCAからの正式な採用オファーを受けながらも、最終的に断る方向へ傾く**。第2章前半の大きな分岐点になります。

今回の試し書きで特に良いのは、理沙の気持ちが「単純な拒否」ではなく、かなり複雑に揺れているところです。

HALUCAは怪しいだけの会社ではない。
柴原は理沙たちを評価している。
小川も悪い人ではなさそう。
湯浅、フィリップ、島崎は前向き。
それでも理沙だけが、どこかで踏み切れない。

この構図がとても良いです。

また、冒頭の会社の作業グループが突然消える場面も良いと思います。
「プロジェクトが突然打ち切られ、昨日までいた人たちが自宅待機になる」という出来事が、理沙の日常の不安定さを示しています。
つまり、理沙は現実の仕事でも、音楽でも、「自分の意思だけではどうにもならない力」に囲まれている。
その中で、HALUCAに乗るかどうかを考えているわけですね。

この節の核は、次のように整理できそうです。

**HALUCAから正式な採用オファーが届く。
Arisa-Mistyの三人は前向きだが、理沙だけは踏み切れない。
柴原の本心が見えないこと、自分たちの音楽が事務所の意向に縛られるかもしれないこと、そして自分が本当に何をしたいのか説明できないことが引っかかっている。
一日考えた末、理沙は小川に断りのメッセージを書き始める。**

とてもよい流れです。

整理するとしたら、構成は次のようにすると読みやすそうです。

---

# 002-12 整理案

## 1. 雨の週末と、晴れた月曜

冒頭は良いです。

週末の土砂降りの雨。
悶々と家で考え続ける理沙。
月曜は一転して雲一つない夏空。
この天候の対比は、理沙の中が晴れていないことを逆に浮かび上がらせます。

ここは残した方が良いです。

## 2. 会社で見た「消えた作業グループ」

この場面は、すごく効いています。

ただ、組織変更やプロジェクト打ち切りの説明は少し短くまとめるとよさそうです。
理沙が出社して、いつも人がいるはずの島が空っぽ。
掲示板を見ると、プロジェクト終了と組織変更通知。
昨日までそこにいた人たちが、一瞬で組織図から消えている。

ここで理沙が「明日は我が身」と思う。

これは、後の「操り人形になりたくない」「自分で決めたい」という感情につながります。

## 3. 湯浅のいたずらメッセージ

<小川です。。。>
送信元は湯浅。

これは良いです。
緊張している理沙の状態を見せつつ、湯浅らしい軽さも出ます。

理沙が爆弾アイコン付きで怒るのも良いです。

ただ、この後すぐに土曜夜の反省会の回想へ入ると自然です。

## 4. 土曜夜の反省会

ここは重要です。

湯浅、フィリップ、島崎は前向き。
ただし、完全に無警戒ではない。

* 柴原は何か考えている。
* 小川は信用できそう。
* 契約内容は確認する必要がある。
* でも、この機会を逃すのは惜しい。

この三人の現実的な前向きさに対して、理沙は引っかかる。

理沙の反対理由は、次の三つに整理できます。

1. 柴原が「なぜ評価したか」を答えなかったことが引っかかる。
2. HALUCAの音楽の方向性が、自分たちと合っている気がしない。
3. 事務所の意向に従うことで、自分たちがやりたいことを失うのが怖い。

そこで三人から、

> 「それじゃ、理沙はいったい何がしたいの?」

と返される。

これはとても良いです。
理沙は反対しているけれど、では自分が何を望んでいるのかを説明できない。
この節のタイトル「アイドルになりたくない」は、その説明できない感情の一部ですね。

## 5. 夕方、小川から正式オファー

昼間の湯浅とのやりとりのあと、夕方に小川から正式メッセージが来る。

ここで一気に現実味が出ます。

<皆さんを採用したいと考えています>

ここは強い一文です。

三人が興奮するのも自然です。
そして、また理沙に判断が任される。
理沙は「なぜ私が決めるのか」と思いながらも、結局自分が決めるしかない。

## 6. 帰宅後、断りのメッセージを書く

帰宅途中に考える。
ラーメン屋で夕食。
風呂。
ベッドの上。

この生活感は良いです。
大きな判断をする前に、妙に普通の行動をしているのが理沙らしいです。

最後は、

> <いろいろと考えてみたのですが……>

で止めるのも良いです。

ただ、002-12の中で実際に「断る文面」まで出すかどうかは少し考えどころです。
タイトルが「アイドルになりたくない」なので、この節で理沙が自分の言葉としてその核心を言うなら、断りの文面の途中に、

> 私は、歌手になりたいというより、自分たちの言葉で歌いたいのだと思います。
> たぶん、私はアイドルになりたいわけではありません。

のような一文があってもよさそうです。

ただし、あまり説明しすぎると理沙らしくないので、最初の断り文面を書き始めるところで終え、次節002-13「他人がやらない事」で湯浅と話しながら明確化するのも自然です。

---

## 修正版の方向性

試し書きを修正するなら、こういう流れが良さそうです。

1. 土砂降りの週末、理沙はHALUCAの件を考え続ける。
2. 月曜朝、晴れた夏空の下で出社する。
3. オフィスで、隣の作業グループが組織変更で消えていることを知る。
4. 理沙は「明日は我が身」と思いながら仕事を始める。
5. 湯浅から「小川です。。。」といういたずらメッセージが来る。
6. そこから土曜夜の反省会を思い出す。
7. 三人はHALUCAに前向きだが、理沙だけは反対していた。
8. 理沙は「操り人形になりたくない」「音楽の方向性が違う」と言うが、三人に「じゃあ何がしたいの」と問われる。
9. 昼間、理沙は湯浅に「いったん断ろうよ」と返す。
10. 夕方、小川から正式な採用オファーが届く。
11. 三人は興奮し、判断はまた理沙に集まる。
12. 理沙は帰宅後、自分の考えを三人に伝えたうえで、小川への断りのメッセージを書き始める。

この方向で修正版にすると、理沙の迷いと決断がかなり自然に見えると思います。
ありがとうございます。この修正案でよいと思います。
ただし、この節の最後は、理沙のメッセージの冒頭のみで止めたいと思います。以下の分は、このあとの節で別な形で入れたいと思います。
>私は、歌手になりたいというより、自分たちの言葉で歌いたいのだと思います。
>たぶん、私はアイドルになりたいわけではありません。

では、上記の修正案で、試し書きの修正をお願いします
はい。
この節では、理沙の考えをまだ言語化しすぎず、**「断る方向へ決めた」ものの、その核心はまだ完全には表に出さない**形にします。最後もご指定どおり、小川へのメッセージの冒頭で止めます。

---

# 002-12【試し書き・修正版】:アイドルになりたくない

週末は、朝から夕方まで土砂降りの雨だった。

窓の外では、雨粒が絶え間なくベランダの手すりを叩いていた。
空は暗く、昼なのに部屋の中まで薄い灰色に沈んでいる。

理沙は自宅で、ほとんど何もできないまま過ごした。

洗濯もできない。
買い物に出る気にもならない。
配信サイトの数字を見ても、すぐに閉じてしまう。

何度も考えたのは、HALUCAのことだった。

柴原勝。
小川美奈。
発掘システム。
個室スタジオ。
まりあの歌。

そして、自分たちはいったい何を望んでいるのか。

答えは出なかった。

雨の音だけが、ずっと部屋の中にあった。

週が明けて、月曜日。

昨日の雨が嘘のように、空は晴れていた。
雲一つない夏空だった。

朝から気温は三十度を超えている。
駅まで歩くだけで、背中に汗がにじんだ。

理沙はいつものように会社へ向かい、空調の効いたオフィスに入った。

外の熱気が遠ざかる。
蛍光灯の白い光。
キーボードの音。
誰かの小さな話し声。

いつもの月曜日のはずだった。

けれど、理沙はすぐに違和感に気づいた。

目の前の作業グループの島に、誰もいなかった。

先週までは、そこに十人近いメンバーが座っていた。
朝から誰かが電話をし、別の誰かが資料を開き、リーダーらしい男性が何度も立ち上がっては周囲に指示を出していた。

それが、今朝は空っぽだった。

椅子だけがきれいに机の下へ収まっている。
モニターの電源も入っていない。
誰かの私物もほとんど見当たらなかった。

理沙は席に着くと、社内掲示板を開いた。

組織変更の通知が出ていた。

顧客側の判断により、該当プロジェクトは前週末で終了。
メンバーは自宅待機。
体制表からも、その作業グループの名前は消えていた。

昨日までそこにあったものが、月曜日の朝にはなくなっている。

理沙はしばらく、空いた島を見つめた。

明日は我が身。

そんな言葉が、自然と頭に浮かんだ。

会社員として働いている以上、こういうことは珍しくない。
分かっている。
分かってはいる。

けれど、実際に目の前で一つの島が消えているのを見ると、少しだけ背中が冷えた。

理沙は深く息を吐き、仕事用の画面を開いた。

今は、自分の作業をするしかない。

一時間ほど集中すると、週末から頭に残っていたHALUCAのことも、少しだけ遠ざかった。
画面の中の仕様書と、修正対象のコードと、確認しなければならない一覧表が、目の前の現実になっていく。

そのとき、机の端に置いたスマホが小さく震えた。

理沙は、何気なく画面を見た。

<小川です。。。>

胸が一瞬、締めつけられた。

結果が来たのか。

理沙は、指先に力が入るのを感じながら、通知を開いた。

送信元は、湯浅だった。

理沙は一瞬、固まった。

それから、爆弾のアイコンを三つ並べた怒りのメッセージを返した。

すぐに湯浅から返信が来た。

<すまんすまん>

続けて、もう一通。

<まだ、決めないの?>

理沙は画面を見たまま、少しだけ目を閉じた。

先日の土曜日の夜のことが、また頭に戻ってくる。

HALUCAのオフィスを出たあと、理沙たちはまりあと駅で別れ、そのまま新宿の居酒屋に入った。
反省会という名目だったが、半分はただの飲み直しだった。

湯浅も、フィリップも、島崎も、気持ちは前向きだった。

もちろん、三人とも完全に無警戒だったわけではない。

契約書はしっかり見た方がいい。
柴原の本心は、まだ分からない。
HALUCAが何を考えているのかも、全部は見えていない。

それでも、三人の結論は似ていた。

柴原は、自分たちを評価している。
小川は、少なくとも悪い人間には見えない。
そして、この機会を何もしないで流すのは惜しい。

フィリップは、いつものように色めき立っていた。

「Big chanceだよ。こういうの、二度目が来るか分からない」

島崎も、珍しく真面目な顔で頷いていた。

「怪しいかどうかは、契約内容を見てからでも遅くないと思う」

湯浅は、少し慎重だった。

「社長の本心は、まだ聞けてない。でも、面白そうなことを考えてるのは確かやと思う」

三人の言うことは、分かる。

分かるからこそ、理沙は余計に黙り込んだ。

「でも、うまく説明できないんだけど……」

理沙は、その夜、何度もそう言った。

柴原が、自分たちのどこを評価したのかを明かさなかったこと。
それが引っかかっているのは確かだった。

けれど、それだけではない。

もっと根本的に、気持ちの方向が合っていないような感覚があった。

HALUCAに入れば、たぶん環境は変わる。
機材も、宣伝も、人も、今よりずっと整うのかもしれない。
自分たちだけでは届かなかった場所に、届く可能性もある。

けれど、その代わりに、自分たちが何を歌うのかを、自分たちだけで決められなくなるかもしれない。

柴原の描く計画の中に、組み込まれるのかもしれない。

理沙はそのことを、うまく言葉にできなかった。

「操り人形になるのは嫌なの」

ようやく出てきたのは、そんな言葉だった。

フィリップが眉をひそめた。

「操り人形って、ちょっと言いすぎじゃない?」

島崎も続ける。

「まだ何も決まってないし」

湯浅は、黙って理沙を見ていた。

「じゃあ、理沙はいったい何がしたいの?」

その一言で、理沙は詰まった。

何がしたいのか。

歌いたい。
それは確かだった。

でも、どこで。
誰に向けて。
何を。
どんな形で。

そこまで聞かれると、答えられなかった。

スマホの画面に、湯浅からのメッセージが続いている。

<土曜日の続きやけど>

<理沙が引っかかってるのは分かる>

<でも、断るにしても、何を理由に断るのかは決めた方がええと思う>

理沙は、しばらく画面を見つめていた。

仕事中だった。

けれど、もう作業画面の文字は頭に入ってこなかった。

理沙は短く返信した。

<いったん、断ろうよ>

送信してから、スマホを伏せた。

湯浅からの追伸は、それ以上来なかった。

午後は、いつもより長く感じた。

理沙は仕事に戻ったが、集中は途切れがちだった。
目の前のコードを追いながらも、ふとした瞬間に、HALUCAのスタジオが頭に浮かぶ。

まりあの歌。
柴原の沈黙。
小川のきまり悪そうな顔。
そして、三人の期待。

夕方になり、終業時刻が近づいたころ、スマホが再び震えた。

今度は、本当に小川からだった。

<先日は、どうもありがとうございました>

理沙は息を止めるようにして、続きを読んだ。

<柴原と検討しましたが、皆さんを採用したいと考えています>

その一文を読んだ瞬間、胸の奥が小さく揺れた。

採用。

言葉にされると、急に現実味が増した。

続くメッセージには、契約に向けての今後の段取りが書かれていた。
契約書の内容については、明日にも送るという。

小川の文面は相変わらず丁寧だった。
押しつけがましさはない。
けれど、確実に次の扉が開いている。

その裏で、湯浅、フィリップ、島崎から次々とメッセージが届いた。

<来たな>

<Big chance!>

<契約書は読むとして、すごいね>

三人とも興奮していた。

そして、いつものように、最後は理沙に視線が集まっているような気がした。

どうするのか。
進むのか。
断るのか。

理沙は、小川への返信欄を開いた。

すぐには言葉が出なかった。

とりあえず、短く打つ。

<小川さん、こちらこそありがとうございます>

送信してから、理沙はスマホを伏せた。

終業後、理沙は会社を出た。

外はまだ明るく、空には夕方の熱が残っていた。
電車の中で、理沙は吊り革につかまりながら、ずっと考えていた。

三人の言うことは分かる。
この機会を逃すのは惜しい。

それでも、進むことが正しいとは思えなかった。

最寄り駅に着くと、理沙は駅前のラーメン屋に入った。
いつもの店だった。

券売機で食券を買い、カウンターに座る。
湯気の上がる丼を前にしても、味はあまり分からなかった。

それでも、食べた。

食べ終えると、家に帰った。
風呂に入り、髪を乾かすのもそこそこに、ベッドの上に横になった。

天井を見上げる。

会社で消えていた作業グループの島を思い出す。

柴原の言葉を思い出す。

歌い終えたまりあの、不安そうな顔を思い出す。

理沙はスマホを手に取った。

まず、湯浅とフィリップと島崎に、自分の考えを短く送った。

すぐに三人から返事が来た。
いくつかの反論と、いくつかのため息と、最後には短い了解。

それを確認してから、理沙は小川へのメッセージ画面を開いた。

指先がしばらく止まった。

それから、ゆっくりと文字を打ち始める。

<いろいろと考えてみたのですが……>
ありがとうございます。
ではこの試し書きの内容で、小説化をお願いします。
はい。
試し書きの流れをもとに、理沙の迷いと、日常の不安定さ、そして最後に小川への返信を書き始めるところまでを、小説本文として整えます。

---

# 002-12 アイドルになりたくない

週末は、朝から夕方まで土砂降りの雨だった。

窓の外では、雨粒が絶え間なくベランダの手すりを叩いていた。空は暗く、昼なのに部屋の中まで薄い灰色に沈んでいる。

理沙は自宅で、ほとんど何もできないまま過ごした。

洗濯もできない。
買い物に出る気にもならない。
配信サイトの数字を見ても、すぐに閉じてしまう。

何度も考えたのは、HALUCAのことだった。

柴原勝。
小川美奈。
発掘システム。
個室スタジオ。
まりあの歌。

そして、自分たちはいったい何を望んでいるのか。

答えは出なかった。

雨の音だけが、ずっと部屋の中にあった。

週が明けて、月曜日。

昨日の雨が嘘のように、空は晴れていた。雲一つない夏空だった。

朝から気温は三十度を超えている。駅まで歩くだけで、背中に汗がにじんだ。

理沙はいつものように会社へ向かい、空調の効いたオフィスに入った。

外の熱気が遠ざかる。
蛍光灯の白い光。
キーボードの音。
誰かの小さな話し声。

いつもの月曜日のはずだった。

けれど、理沙はすぐに違和感に気づいた。

目の前の作業グループの島に、誰もいなかった。

先週までは、そこに十人近いメンバーが座っていた。朝から誰かが電話をし、別の誰かが資料を開き、リーダーらしい男性が何度も立ち上がっては周囲に指示を出していた。

それが、今朝は空っぽだった。

椅子だけがきれいに机の下へ収まっている。モニターの電源も入っていない。誰かの私物もほとんど見当たらなかった。

理沙は席に着くと、社内掲示板を開いた。

組織変更の通知が出ていた。

顧客側の判断により、該当プロジェクトは前週末で終了。メンバーは自宅待機。体制表からも、その作業グループの名前は消えていた。

昨日までそこにあったものが、月曜日の朝にはなくなっている。

理沙はしばらく、空いた島を見つめた。

明日は我が身。

そんな言葉が、自然と頭に浮かんだ。

会社員として働いている以上、こういうことは珍しくない。分かっている。分かってはいる。

けれど、実際に目の前で一つの島が消えているのを見ると、少しだけ背中が冷えた。

理沙は深く息を吐き、仕事用の画面を開いた。

今は、自分の作業をするしかない。

一時間ほど集中すると、週末から頭に残っていたHALUCAのことも、少しだけ遠ざかった。画面の中の仕様書と、修正対象のコードと、確認しなければならない一覧表が、目の前の現実になっていく。

そのとき、机の端に置いたスマホが小さく震えた。

理沙は、何気なく画面を見た。

<小川です。。。>

胸が一瞬、締めつけられた。

結果が来たのか。

理沙は、指先に力が入るのを感じながら、通知を開いた。

送信元は、湯浅だった。

理沙は一瞬、固まった。

それから、爆弾のアイコンを三つ並べた怒りのメッセージを返した。

すぐに湯浅から返信が来た。

<すまんすまん>

続けて、もう一通。

<まだ、決めないの?>

理沙は画面を見たまま、少しだけ目を閉じた。

先日の土曜日の夜のことが、また頭に戻ってくる。

HALUCAのオフィスを出たあと、理沙たちはまりあと駅で別れ、そのまま新宿の居酒屋に入った。反省会という名目だったが、半分はただの飲み直しだった。

湯浅も、フィリップも、島崎も、気持ちは前向きだった。

もちろん、三人とも完全に無警戒だったわけではない。

契約書はしっかり見た方がいい。
柴原の本心は、まだ分からない。
HALUCAが何を考えているのかも、全部は見えていない。

それでも、三人の結論は似ていた。

柴原は、自分たちを評価している。
小川は、少なくとも悪い人間には見えない。
そして、この機会を何もしないで流すのは惜しい。

フィリップは、いつものように色めき立っていた。

「Big chanceだよ。こういうの、二度目が来るか分からない」

島崎も、珍しく真面目な顔で頷いていた。

「怪しいかどうかは、契約内容を見てからでも遅くないと思う」

湯浅は、少し慎重だった。

「社長の本心は、まだ聞けてない。でも、面白そうなことを考えてるのは確かやと思う」

三人の言うことは、分かる。

分かるからこそ、理沙は余計に黙り込んだ。

「でも、うまく説明できないんだけど……」

理沙は、その夜、何度もそう言った。

柴原が、自分たちのどこを評価したのかを明かさなかったこと。
それが引っかかっているのは確かだった。

けれど、それだけではない。

もっと根本的に、気持ちの方向が合っていないような感覚があった。

HALUCAに入れば、たぶん環境は変わる。機材も、宣伝も、人も、今よりずっと整うのかもしれない。自分たちだけでは届かなかった場所に、届く可能性もある。

けれど、その代わりに、自分たちが何を歌うのかを、自分たちだけで決められなくなるかもしれない。

柴原の描く計画の中に、組み込まれるのかもしれない。

理沙はそのことを、うまく言葉にできなかった。

「操り人形になるのは嫌なの」

ようやく出てきたのは、そんな言葉だった。

フィリップが眉をひそめた。

「操り人形って、ちょっと言いすぎじゃない?」

島崎も続ける。

「まだ何も決まってないし」

湯浅は、黙って理沙を見ていた。

「じゃあ、理沙はいったい何がしたいの?」

その一言で、理沙は詰まった。

何がしたいのか。

歌いたい。
それは確かだった。

でも、どこで。
誰に向けて。
何を。
どんな形で。

そこまで聞かれると、答えられなかった。

スマホの画面に、湯浅からのメッセージが続いている。

<土曜日の続きやけど>

<理沙が引っかかってるのは分かる>

<でも、断るにしても、何を理由に断るのかは決めた方がええと思う>

理沙は、しばらく画面を見つめていた。

仕事中だった。

けれど、もう作業画面の文字は頭に入ってこなかった。

理沙は短く返信した。

<いったん、断ろうよ>

送信してから、スマホを伏せた。

湯浅からの追伸は、それ以上来なかった。

午後は、いつもより長く感じた。

理沙は仕事に戻ったが、集中は途切れがちだった。目の前のコードを追いながらも、ふとした瞬間に、HALUCAのスタジオが頭に浮かぶ。

まりあの歌。
柴原の沈黙。
小川のきまり悪そうな顔。
そして、三人の期待。

夕方になり、終業時刻が近づいたころ、スマホが再び震えた。

今度は、本当に小川からだった。

<先日は、どうもありがとうございました>

理沙は息を止めるようにして、続きを読んだ。

<柴原と検討しましたが、皆さんを採用したいと考えています>

その一文を読んだ瞬間、胸の奥が小さく揺れた。

採用。

言葉にされると、急に現実味が増した。

続くメッセージには、契約に向けての今後の段取りが書かれていた。契約書の内容については、明日にも送るという。

小川の文面は相変わらず丁寧だった。押しつけがましさはない。けれど、確実に次の扉が開いている。

その裏で、湯浅、フィリップ、島崎から次々とメッセージが届いた。

<来たな>

<Big chance!>

<契約書は読むとして、すごいね>

三人とも興奮していた。

そして、いつものように、最後は理沙に視線が集まっているような気がした。

どうするのか。
進むのか。
断るのか。

理沙は、小川への返信欄を開いた。

すぐには言葉が出なかった。

とりあえず、短く打つ。

<小川さん、こちらこそありがとうございます>

送信してから、理沙はスマホを伏せた。

終業後、理沙は会社を出た。

外はまだ明るく、空には夕方の熱が残っていた。電車の中で、理沙は吊り革につかまりながら、ずっと考えていた。

三人の言うことは分かる。
この機会を逃すのは惜しい。

それでも、進むことが正しいとは思えなかった。

最寄り駅に着くと、理沙は駅前のラーメン屋に入った。いつもの店だった。

券売機で食券を買い、カウンターに座る。湯気の上がる丼を前にしても、味はあまり分からなかった。

それでも、食べた。

食べ終えると、家に帰った。
風呂に入り、髪を乾かすのもそこそこに、ベッドの上に横になった。

天井を見上げる。

会社で消えていた作業グループの島を思い出す。

柴原の言葉を思い出す。

歌い終えたまりあの、不安そうな顔を思い出す。

理沙はスマホを手に取った。

まず、湯浅とフィリップと島崎に、自分の考えを短く送った。

すぐに三人から返事が来た。
いくつかの反論と、いくつかのため息と、最後には短い了解。

それを確認してから、理沙は小川へのメッセージ画面を開いた。

指先がしばらく止まった。

それから、ゆっくりと文字を打ち始める。

<いろいろと考えてみたのですが……>
ありがとうございます。
では400字程度で、この内容のあらすじの作成をお願いします。
### 002-12「アイドルになりたくない」あらすじ

週末の土砂降りの雨の中、理沙はHALUCAからのオファーについて答えを出せずに過ごす。
週明けの月曜、出社した理沙は、目の前の作業グループが突然プロジェクト終了となり、組織図から消えていることを知る。
自分の仕事も不安定なものだと感じながら作業に戻るが、湯浅からのメッセージをきっかけに、土曜夜の反省会を思い出す。
湯浅、フィリップ、島崎はHALUCAとの契約に前向きだったが、
理沙だけは、自分たちが柴原の計画に組み込まれ、やりたい音楽を失うことを恐れていた。
夕方、小川から正式に採用したいという連絡が届き、三人は興奮する。
理沙は迷いながらも、進むことが正しいとは思えず、帰宅後、三人に自分の考えを伝えたうえで、小川への返事を書き始める
ありがとうございます。
ではまた日を改めて、続きの002-13の作成をいたします。
こちらこそ、ありがとうございました。
002-12で、理沙がHALUCAからの正式オファーを前にしながらも、断る方向へ踏み出すところまで進みましたね。

次回は **002-13「他人がやらない事」** ですね。
理沙が小川への返事をどう書いたのか、その後に湯浅と話しながら、自分が本当は何を歌いたいのかを少しずつ言葉にしていく節になりそうです。

また日を改めて、002-13の試し書きから進めましょう。



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