032_前例がない事をやってみる

●作者のコメント

●ChatGPTのコメント
では、002-15の試し書きをしてみました。
少々長いのと、説明が多くなってしまったので、整理する必要がありそうです。

●002-15【試し書き】:前例がない事をやってみる

夜勤明けのまりあ。
疲れ切っていて、風呂から上がるとそのままベッドになだれこむ。
夏の暑さはようやく峠を越えたようだが、それでもまだ朝の陽ざしは強烈で、身にこたえる。

しかし、疲れているのは夜勤のせいだけではなかった。
仕事で夜勤のシフトがある日は除いて、週末もほぼ休みなし。
小川の立てたスケジュールに従い、専門家の指導のもとでのヴォイストレーニング。
そして、ダンスレッスン。
デビューに向けた詩の選定と、曲作り。
翌日は仕事だというのに、自宅に持ち帰って深夜まで曲のアレンジを考える事もあった。

契約の締結と、今後のプランについて柴原から聞いた直後、
まりあは迷うことなく、プロモーション用の曲について自分の希望を述べた。
あの場所で使うとしたら、あの曲しかない。
まりあは、柴原と小川の前で、スマホの中に入っているあの作りかけの詩を見せる。
そして、この詩を思いついた時の心境を述べる。

柴原と小川からは特に異論はなく、あっさりとOKが出る。
そして、部屋の隅でパソコンに向かっているエンジニアの1人に、柴原は声をかける。
その男は、作業中は真剣な表情だったが、作業から離れると気さくで感じのいい人だった。

「さっきの詩を、片岡さんのお望みの通りに仕上げてくれるますよ」

まりあは彼に小さく頭を下げた。
これから作業が一気に動き出すと思うと、気分が高揚してくる。
そして柴原は、小川に言った。

「さて、小川さんは今日から片岡さんの専任マネージャーです。よろしく頼みます」

小川はそれほど驚いた表情は見せていなかった。
いかにも当然の流れといった感じで、わかりました。と柴原にひとこと。

「小川さん、改めてよろしくお願いします」
まりあは小川に頭を下げる。

「片岡さん、こちらこそよろしくお願いします」

その時に見せた彼女の笑顔が、非常に心強かった。

とはいえ。。。。
天井を眺めながら、まりあは思った。

やはり仕事との両立はなかなか厳しい。
売れるまでは、まりあには少額のギャラしか支払われない。
ヴォイストレーニングと、ダンスレッスンの費用、交通費は「HALUCA」持ちだが、
週末も休みなしの生活が1か月ほど続くと、体が悲鳴をあげていた。
そして最初のプロモーションで売れる見込みがなければ、そこで計画打ち切りの可能性もある。

なにげに、まりあは柴原に会社の経営と業務の状況について遠回しに尋ねた事があった。
こんなに小さな会社で、大手の音楽事務所並みのことが実現できるのかと。

「確かに、この人数だけでは無理です」

あっさりと柴原は答える。

「でも、小さい会社だからこそできる事もあります」

音楽業界には全く縁はなく、歌手を育てるノウハウもなく、
そんな彼が、自分の夢を実現する手段を持っているのだろうか。

「今この時間も、目に見えない部下たちが動き回っていますから」

彼はいつも見ているノートパソコンの画面をまりあに見せた。
大量のタスク項目。
その項目の量は、先日画面で見せてもらったものと比較にならないほどに多くて細かい。
普通の会社であれば、中間管理職の指示のもと、
その下のメンバーが手足となって動き、関係先に電話や、メール、リモート会議をしながら事を進めるものが、
すべてシステム化されていた。

各タスクの項目のステータスが次々に変化し、何か不測の事態があれば、
システム内の中間管理職が解決策を考え、部下に指示し、対応する。
そして柴原はその状況を見守り、重要な決定事項についてだけ柴原が対応する。

「渋谷ウォールスクリーンの先の計画も、既に始まっています」

巨大な台風の中心が、風のない穏やかな場所であるように、
まりあもまた、巨大な渦の渦中でぼんやりと考えていた。

午前中のエアコンの効いた部屋の中、
まりあは、いつの間にか眠りについていた。
拝読しました。
おっしゃる通り、002-15は少し説明量が多めですが、内容自体はかなり重要で、方向性も良いと思います。

この節では、**まりあがHALUCAの計画に本格的に組み込まれていくこと**と、**柴原の会社が普通の音楽事務所ではないこと**を見せる節ですね。
002-14で暗示されたPV公開場所の続きとして、まりあの「Next Frontier」が動き出す準備段階になっています。

特に良いのは、以下の三つです。

まず、冒頭の夜勤明けのまりあです。
デビュー計画が始まっても、まりあはまだ普通に仕事をしている。夜勤もあり、休日もレッスンや打ち合わせで潰れている。ここに生活感があり、後の「伝説の歌手」になる前の現実が見えます。

次に、「Next Frontier」の詩をまりあ自身が選ぶ流れです。
あの場所でPVを流すなら、あの夜に生まれた詩しかない。これは002-03と002-14の終わりをきれいにつなぎます。

そして、柴原の会社運営です。
小さな会社なのに、大きなことを進めている理由として、「目に見えない部下たち」が動いているという説明は面白いです。ここは2041年らしい未来感も出ますし、HALUCAが単なる芸能事務所ではなく、システムと投資判断で動く会社だという設定にも合っています。

ただ、整理するなら、説明を一気に並べるより、**まりあの疲労感の中に回想として断片的に入れる**方がよさそうです。

この節の核は、次のように整理できます。

**まりあはHALUCAと契約後、仕事とデビュー準備を両立しながら、夜勤、ヴォイストレーニング、ダンスレッスン、曲作りに追われる。最初のPV用楽曲として、彼女は渋谷で生まれた詩を選び、小川は専任マネージャーとなる。疲れ切ったまりあは、柴原が語った「小さい会社だからこそできること」を思い出す。HALUCAでは、多数のタスクがシステム上で自動的に管理され、目に見えない部下たちが動いていた。まりあは、自分が巨大な渦の中心にいるような感覚を抱きながら、いつの間にか眠りにつく。**

構成としては、次のようにすると一筋につながると思います。

---

# 002-15 整理案

## 1. 夜勤明けのまりあ

夜勤を終えたまりあが帰宅する。
風呂に入って、ベッドになだれ込む。
夏の暑さは少し弱まっているが、朝の光はまだ強い。

ここでは、まず体の疲れを見せると良いです。

* 夜勤明け
* 週末も休みなし
* レッスン
* 曲作り
* 翌日仕事なのに深夜までアレンジを考える

このあたりは、説明としてではなく、まりあがベッドで思い返す形にすると自然です。

## 2. 契約直後の回想

まりあが契約を結んだ日のことを思い出す。

柴原からPV公開場所を示されたあと、まりあはすぐに曲の希望を伝える。

> あの場所で流すなら、あの曲しかない。

ここで、具体的な場所名はまだ出さずに、002-03で生まれた詩を見せる。
柴原と小川は反対せず、その詩を仕上げる担当者に話を振る。

この場面では、「曲が動き出す」感じを出すのが大事です。

## 3. 小川が専任マネージャーになる

柴原が小川に、

> 「今日から片岡さんの専任マネージャーです」

と告げる。

小川は驚きすぎず、自然に受け止める。
まりあは小川の笑顔に安心する。

この場面は残した方が良いです。
まりあがこれから厳しい道に入るうえで、小川が支えになることを示せます。

## 4. 現在に戻り、疲労と不安

ベッドの上のまりあに戻る。

デビュー準備は順調に進んでいる。
しかし、仕事との両立はきつい。
しかも、まだ売れていないので十分な収入はない。
費用はHALUCA持ちでも、時間と体力はまりあ自身が支払っている。

ここで、

> 最初のプロモーションで見込みがなければ、計画は打ち切られるかもしれない。

という現実を入れると、夢だけではない緊張感が出ます。

## 5. 柴原への問い

まりあは以前、柴原に会社の規模や実現可能性を遠回しに尋ねたことを思い出す。

「こんな小さな会社で、本当に大手の音楽事務所並みのことができるのか」

柴原はあっさり答える。

> 「この人数だけでは無理です」
> 「でも、小さい会社だからこそできることもあります」

ここは非常に良いので残したいです。

## 6. 目に見えない部下たち

柴原がノートパソコンの画面を見せる。

そこには大量のタスクが並んでいる。
人間の中間管理職がやるような調整、確認、指示、進捗管理を、システム上のエージェントたちが処理している。

ただし、ここは説明しすぎると硬くなるので、まりあの印象中心にすると良さそうです。

たとえば、

* タスク項目が次々と更新される
* 担当者名ではなく、機能名のような名前が並んでいる
* 進捗、警告、代替案、承認待ちが流れている
* 柴原はそのすべてを直接指示しているのではなく、重要な判断だけを見ている

という描写にすると、説明ではなく絵になります。

## 7. 台風の中心の比喩

ラストの比喩はとても良いです。

巨大な台風の中心だけが、風のない穏やかな場所である。
まりあは、自分の周囲でとてつもない量のタスクが動いていることを知りながら、その中心でぼんやりしている。

そして、エアコンの効いた部屋で眠りに落ちる。

ここは締めとして合っています。

---

## 修正版の流れ

全体としては、以下の構成がよさそうです。

1. 夜勤明けのまりあが帰宅し、疲れ切ってベッドに横になる。
2. 契約後の一か月、仕事とレッスンと曲作りに追われていることを思い返す。
3. 契約直後、まりあが最初のPV用に「あの詩」を使いたいと申し出た場面を回想する。
4. 柴原はそれを受け入れ、制作担当者に詩の仕上げを任せる。
5. 小川がまりあの専任マネージャーになる。
6. 現在に戻り、まりあは体力的な厳しさと、計画打ち切りの可能性を思う。
7. 以前、柴原に「小さい会社で本当にできるのか」と尋ねた場面を思い出す。
8. 柴原は「目に見えない部下たち」が動いていると説明する。
9. まりあは大量のタスクが自動的に進む画面を見て、HALUCAの本質を垣間見る。
10. 柴原は、最初のPVの先の計画もすでに動いていると告げる。
11. まりあは巨大な渦の中心にいるような感覚を抱く。
12. エアコンの効いた部屋で、いつの間にか眠りにつく。

この方向にすると、説明の多さを抑えながら、まりあの疲労、期待、不安、HALUCAの異質さが自然に伝わると思います。
はい、非常に良いまとめ方だと思います。ありがとうございます。
ではこの修正版の案で、試し書きの修正をお願いします。
はい。
説明部分をまりあの疲労感と回想の中に織り込み、**「忙しさに飲み込まれているまりあ」と「小さな会社なのに巨大な計画を動かすHALUCA」** が自然に見える形に整理します。

---

# 002-15【試し書き・修正版】:前例がない事をやってみる

夜勤明けのまりあは、部屋に戻るなり、ほとんど何も考えられなくなっていた。

玄関で靴を脱ぎ、バッグを床に置く。
服を脱いで、シャワーを浴びる。

風呂から上がるころには、もう髪を乾かす気力もあまり残っていなかった。

タオルで髪を軽く拭き、最低限の着替えだけを済ませる。
それから、まりあはそのままベッドになだれ込んだ。

夏の暑さは、ようやく峠を越え始めていた。

それでも、朝の陽ざしはまだ強い。
カーテンの隙間から差し込む光が、床の上に白く伸びている。

エアコンの音だけが、部屋の中で静かに続いていた。

疲れているのは、夜勤のせいだけではなかった。

HALUCAと契約してから、生活は少しずつ変わっていた。

仕事で夜勤のシフトが入っている日は、今まで通り会社へ行く。
それ以外の日は、打ち合わせか、ヴォイストレーニングか、ダンスレッスンが入る。

週末も、ほとんど休みではなくなった。

専門家の指導を受けながら、声の出し方を直す。
鏡の前で、足の運びや腕の角度を何度も確認する。
デビューに向けて、どの詩を使うのか、どんな曲に仕上げるのかを話し合う。

翌日が仕事だと分かっていても、自宅に帰ってから深夜まで曲のアレンジを考えることもあった。

充実している。

それは確かだった。

けれど、体は正直だった。

まりあは仰向けになり、天井を見つめた。

目を閉じると、一か月ほど前のことが浮かんでくる。

HALUCAの事務所。
応接テーブル。
柴原が見せた、最初のPVを流す場所の画像。

夜の街。
広い交差点。
見上げるほど大きな光。

あの画像を見た瞬間、まりあはすぐに思った。

あそこで流すなら、あの曲しかない。

契約の手続きが終わり、今後の計画について柴原から説明を受けたあと、まりあは迷わず口を開いた。

「あの場所で使う曲なんですけど」

柴原と小川が、まりあを見る。

まりあは少し緊張しながら、スマホを取り出した。

「まだ曲にはなっていません。詩も、作りかけです。でも……最初に流すなら、これがいいと思います」

画面に表示したのは、あの夜に書き留めた詩だった。

渋谷の交差点で、遠くの歌を見上げながら浮かんだ言葉。

羽ばたいて、高く高く。

あの時は、ただの断片だった。
けれど、まりあにとっては、他のどの詩よりも、始まりに近い言葉だった。

まりあは、その詩を思いついたときのことを、柴原と小川に話した。

夜の街の音。
人の流れ。
巨大な光。
画面の向こうで歌っていた、知らない女性。
自分もあんなふうに、誰かに見上げられる存在になれるのだろうかと、一瞬だけ思ってしまったこと。

話し終えると、まりあは少し恥ずかしくなった。

けれど、柴原は特に驚いた様子も、否定する様子も見せなかった。

小川も、静かに頷いていた。

「いいと思います」

柴原は、あっさりと言った。

「あの場所で最初に出すなら、むしろそれ以外はないでしょう」

まりあは、一瞬、言葉に詰まった。

もっと細かく説明を求められると思っていた。
まだ完成していないから難しいと言われるかもしれないとも思っていた。

けれど、答えはあまりにも早かった。

柴原は、部屋の隅でノートパソコンに向かっていた一人の男性に声をかけた。

「少し、いいですか」

男性が顔を上げる。

作業中は真剣な表情だったが、こちらに近づいてくると、思ったより気さくな雰囲気の人だった。

「この詩を、片岡さんの希望に沿う形で仕上げてもらいます」

柴原が言った。

「まずは言葉の整理から。必要なら、曲の骨格も一緒に作ってください」

男性は、まりあのスマホに表示された詩を見て、軽く頷いた。

「分かりました」

まりあは、慌てて頭を下げた。

「よろしくお願いします」

胸の奥が、少しだけ高鳴っていた。

自分の中だけにあった言葉が、いま目の前で、誰かの仕事になっていく。

それが不思議で、少し怖くて、でも嬉しかった。

そのとき、柴原は小川の方を向いた。

「それから、小川さん」

「はい」

「今日から片岡さんの専任マネージャーです。よろしく頼みます」

小川は、それほど驚いた表情を見せなかった。

まるで、そうなることを最初から分かっていたように、静かに頷いた。

「分かりました」

まりあは小川に向き直った。

「小川さん、改めてよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

小川は穏やかに笑った。

その笑顔が、まりあにはとても心強く見えた。

ベッドの上で、まりあは小さく寝返りを打った。

あのときは、何かが始まったのだと思った。

実際、始まった。

けれど、始まってからの毎日は、想像していたよりもずっと慌ただしかった。

まだ売れているわけではない。
だから、HALUCAから支払われるギャラは少額だった。

ヴォイストレーニングやダンスレッスンの費用、交通費はHALUCAが負担してくれる。
それはありがたかった。

それでも、時間と体力はまりあ自身が支払うしかない。

夜勤。
仮眠。
レッスン。
打ち合わせ。
曲作り。
また仕事。

そんな日々が一か月ほど続くと、さすがに体が悲鳴を上げ始めていた。

しかも、この計画がずっと続くとは限らない。

最初のプロモーションで売れる見込みがないと判断されれば、そこで打ち切られる可能性もある。

小川はそのことを、最初から隠さなかった。

優しい人だと思う。
けれど、甘いことは言わない人でもあった。

まりあは目を閉じたまま、以前、柴原に尋ねたことを思い出した。

ある日の打ち合わせのあとだった。

まりあは、ずっと気になっていたことを、できるだけ遠回しに聞いた。

「HALUCAって、人数はそれほど多くないですよね」

「ええ」

柴原は、あっさり頷いた。

「かなり少ないです」

「その……大きな事務所がやるようなことを、同じように進められるものなんでしょうか」

言ってから、まりあは少し後悔した。

失礼だったかもしれない。

けれど、柴原は気分を害した様子もなく、むしろ少し楽しそうに口元を緩めた。

「確かに、この人数だけでは無理です」

答えは、思ったよりも正直だった。

「でも、小さい会社だからこそできることもあります」

柴原は、自分のノートパソコンをまりあの方へ向けた。

「今この時間も、目に見えない部下たちが動き回っていますから」

画面には、大量のタスク項目が並んでいた。

以前見せられた計画表とは、比べものにならないほど細かかった。

曲の制作。
映像担当との調整。
スタジオの仮押さえ。
候補衣装の比較。
レッスン日程の再調整。
権利関係の確認。
広告枠の空き状況。
配信サイトの分析。
反応予測の更新。

それらの横で、ステータスが次々と変わっていく。

未着手。
確認中。
代替案あり。
承認待ち。
完了。

担当者名の欄には、人の名前ではなく、機能名のようなものが並んでいた。

小川の名前も、柴原の名前も、ところどころにある。
けれど、大半はまりあの知らない名前だった。

人間の社員というより、役割そのものがそこにいるようだった。

「普通の会社なら、人が電話をして、メールをして、会議をして、調整して、上司に報告して、それから次の判断をする」

柴原は画面を見ながら言った。

「うちは、その多くをシステムに任せています」

まりあは、流れていくタスクを見つめていた。

ひとつの項目に警告がつく。
その下に、すぐ代替案が表示される。
別の項目が、その代替案に合わせて更新される。
最後に、柴原の承認待ちとして一行が残る。

柴原はその内容を読み、短く操作した。

また別のタスクが動き出す。

「もちろん、最後に決めるのは人間です」

柴原は言った。

「でも、人間が全部を追いかける必要はありません」

まりあは、少し怖いと思った。

同時に、少し頼もしいとも思った。

この小さな事務所の中で、自分の知らないところまで、何かが広がっている。

目の前にいる人間の数だけでは測れない会社なのだと、ようやく分かった気がした。

柴原は、画面を閉じる前に、何気ない口調で言った。

「最初のPVの先の計画も、もう始まっています」

その言葉を聞いたとき、まりあは返事ができなかった。

自分は、どこまで連れて行かれるのだろう。

それとも、自分でそこまで行くのだろうか。

ベッドの上で、まりあは薄く目を開けた。

エアコンの効いた部屋は静かだった。

外では、まだ午前の光が強く照っている。

自分の周りでは、とてつもない量のことが動いている。

歌。
映像。
契約。
練習。
宣伝。
数字。
反応。
次の計画。

そのすべての中心に、自分の名前が置かれている。

巨大な台風の中心だけが、風のない穏やかな場所であるように。

まりあは、渦の真ん中で、ただ一人ぼんやりと天井を見ていた。

やがて、考えることにも疲れた。

エアコンの音が、少し遠くなる。

まりあは、いつの間にか眠りについていた。
ありがとうございます。
ではこの修正版の試し書きをもとに、小説化をお願いします。
はい。
修正版の試し書きをもとに、まりあの疲労感を軸にしながら、HALUCAの計画が静かに、しかし大きく動いていることが伝わるように小説本文として整えます。

---

# 002-15 前例がない事をやってみる

夜勤明けのまりあは、部屋に戻るなり、ほとんど何も考えられなくなっていた。

玄関で靴を脱ぎ、バッグを床に置く。
服を脱いで、シャワーを浴びる。

風呂から上がるころには、もう髪を乾かす気力もあまり残っていなかった。

タオルで髪を軽く拭き、最低限の着替えだけを済ませる。
それから、まりあはそのままベッドになだれ込んだ。

夏の暑さは、ようやく峠を越え始めていた。

それでも、朝の陽ざしはまだ強い。
カーテンの隙間から差し込む光が、床の上に白く伸びている。

エアコンの音だけが、部屋の中で静かに続いていた。

疲れているのは、夜勤のせいだけではなかった。

HALUCAと契約してから、生活は少しずつ変わっていた。

仕事で夜勤のシフトが入っている日は、今まで通り会社へ行く。
それ以外の日は、打ち合わせか、ヴォイストレーニングか、ダンスレッスンが入る。

週末も、ほとんど休みではなくなった。

専門家の指導を受けながら、声の出し方を直す。
鏡の前で、足の運びや腕の角度を何度も確認する。
デビューに向けて、どの詩を使うのか、どんな曲に仕上げるのかを話し合う。

翌日が仕事だと分かっていても、自宅に帰ってから深夜まで曲のアレンジを考えることもあった。

充実している。

それは確かだった。

けれど、体は正直だった。

まりあは仰向けになり、天井を見つめた。

目を閉じると、一か月ほど前のことが浮かんでくる。

HALUCAの事務所。
応接テーブル。
柴原が見せた、最初のPVを流す場所の画像。

夜の街。
広い交差点。
見上げるほど大きな光。

あの画像を見た瞬間、まりあはすぐに思った。

あそこで流すなら、あの曲しかない。

契約の手続きが終わり、今後の計画について柴原から説明を受けたあと、まりあは迷わず口を開いた。

「あの場所で使う曲なんですけど」

柴原と小川が、まりあを見る。

まりあは少し緊張しながら、スマホを取り出した。

「まだ曲にはなっていません。詩も、作りかけです。でも……最初に流すなら、これがいいと思います」

画面に表示したのは、あの夜に書き留めた詩だった。

渋谷の交差点で、遠くの歌を見上げながら浮かんだ言葉。

羽ばたいて、高く高く。

あのときは、ただの断片だった。

けれど、まりあにとっては、他のどの詩よりも、始まりに近い言葉だった。

まりあは、その詩を思いついたときのことを、柴原と小川に話した。

夜の街の音。
人の流れ。
巨大な光。
画面の向こうで歌っていた、知らない女性。
自分もあんなふうに、誰かに見上げられる存在になれるのだろうかと、一瞬だけ思ってしまったこと。

話し終えると、まりあは少し恥ずかしくなった。

けれど、柴原は特に驚いた様子も、否定する様子も見せなかった。

小川も、静かに頷いていた。

「いいと思います」

柴原は、あっさりと言った。

「あの場所で最初に出すなら、むしろそれ以外はないでしょう」

まりあは、一瞬、言葉に詰まった。

もっと細かく説明を求められると思っていた。
まだ完成していないから難しいと言われるかもしれないとも思っていた。

けれど、答えはあまりにも早かった。

柴原は、部屋の隅でノートパソコンに向かっていた一人の男性に声をかけた。

「少し、いいですか」

男性が顔を上げる。

作業中は真剣な表情だったが、こちらに近づいてくると、思ったより気さくな雰囲気の人だった。

「この詩を、片岡さんの希望に沿う形で仕上げてもらいます」

柴原が言った。

「まずは言葉の整理から。必要なら、曲の骨格も一緒に作ってください」

男性は、まりあのスマホに表示された詩を見て、軽く頷いた。

「分かりました」

まりあは、慌てて頭を下げた。

「よろしくお願いします」

胸の奥が、少しだけ高鳴っていた。

自分の中だけにあった言葉が、いま目の前で、誰かの仕事になっていく。

それが不思議で、少し怖くて、でも嬉しかった。

そのとき、柴原は小川の方を向いた。

「それから、小川さん」

「はい」

「今日から片岡さんの専任マネージャーです。よろしく頼みます」

小川は、それほど驚いた表情を見せなかった。

まるで、そうなることを最初から分かっていたように、静かに頷いた。

「分かりました」

まりあは小川に向き直った。

「小川さん、改めてよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

小川は穏やかに笑った。

その笑顔が、まりあにはとても心強く見えた。

ベッドの上で、まりあは小さく寝返りを打った。

あのときは、何かが始まったのだと思った。

実際、始まった。

けれど、始まってからの毎日は、想像していたよりもずっと慌ただしかった。

まだ売れているわけではない。
だから、HALUCAから支払われるギャラは少額だった。

ヴォイストレーニングやダンスレッスンの費用、交通費はHALUCAが負担してくれる。
それはありがたかった。

それでも、時間と体力はまりあ自身が支払うしかない。

夜勤。
仮眠。
レッスン。
打ち合わせ。
曲作り。
また仕事。

そんな日々が一か月ほど続くと、さすがに体が悲鳴を上げ始めていた。

しかも、この計画がずっと続くとは限らない。

最初のプロモーションで売れる見込みがないと判断されれば、そこで打ち切られる可能性もある。

小川はそのことを、最初から隠さなかった。

優しい人だと思う。

けれど、甘いことは言わない人でもあった。

まりあは目を閉じたまま、以前、柴原に尋ねたことを思い出した。

ある日の打ち合わせのあとだった。

まりあは、ずっと気になっていたことを、できるだけ遠回しに聞いた。

「HALUCAって、人数はそれほど多くないですよね」

「ええ」

柴原は、あっさり頷いた。

「かなり少ないです」

「その……大きな事務所がやるようなことを、同じように進められるものなんでしょうか」

言ってから、まりあは少し後悔した。

失礼だったかもしれない。

けれど、柴原は気分を害した様子もなく、むしろ少し楽しそうに口元を緩めた。

「確かに、この人数だけでは無理です」

答えは、思ったよりも正直だった。

「でも、小さい会社だからこそできることもあります」

柴原は、自分のノートパソコンをまりあの方へ向けた。

「今この時間も、目に見えない部下たちが動き回っていますから」

画面には、大量のタスク項目が並んでいた。

以前見せられた計画表とは、比べものにならないほど細かかった。

曲の制作。
映像担当との調整。
スタジオの仮押さえ。
候補衣装の比較。
レッスン日程の再調整。
権利関係の確認。
広告枠の空き状況。
配信サイトの分析。
反応予測の更新。

それらの横で、ステータスが次々と変わっていく。

未着手。
確認中。
代替案あり。
承認待ち。
完了。

担当者名の欄には、人の名前ではなく、機能名のようなものが並んでいた。

小川の名前も、柴原の名前も、ところどころにある。
けれど、大半はまりあの知らない名前だった。

人間の社員というより、役割そのものがそこにいるようだった。

「普通の会社なら、人が電話をして、メールをして、会議をして、調整して、上司に報告して、それから次の判断をする」

柴原は画面を見ながら言った。

「うちは、その多くをシステムに任せています」

まりあは、流れていくタスクを見つめていた。

ひとつの項目に警告がつく。
その下に、すぐ代替案が表示される。
別の項目が、その代替案に合わせて更新される。
最後に、柴原の承認待ちとして一行が残る。

柴原はその内容を読み、短く操作した。

また別のタスクが動き出す。

「もちろん、最後に決めるのは人間です」

柴原は言った。

「でも、人間が全部を追いかける必要はありません」

まりあは、少し怖いと思った。

同時に、少し頼もしいとも思った。

この小さな事務所の中で、自分の知らないところまで、何かが広がっている。

目の前にいる人間の数だけでは測れない会社なのだと、ようやく分かった気がした。

柴原は、画面を閉じる前に、何気ない口調で言った。

「最初のPVの先の計画も、もう始まっています」

その言葉を聞いたとき、まりあは返事ができなかった。

自分は、どこまで連れて行かれるのだろう。

それとも、自分でそこまで行くのだろうか。

ベッドの上で、まりあは薄く目を開けた。

エアコンの効いた部屋は静かだった。

外では、まだ午前の光が強く照っている。

自分の周りでは、とてつもない量のことが動いている。

歌。
映像。
契約。
練習。
宣伝。
数字。
反応。
次の計画。

そのすべての中心に、自分の名前が置かれている。

巨大な台風の中心だけが、風のない穏やかな場所であるように。

まりあは、渦の真ん中で、ただ一人ぼんやりと天井を見ていた。

やがて、考えることにも疲れた。

エアコンの音が、少し遠くなる。

まりあは、いつの間にか眠りについていた。
ありがとうございます。
では400字程度で、この文章のあらすじの作成をお願いします。
### 002-15「前例がない事をやってみる」あらすじ

夜勤明けのまりあは、疲れ切って帰宅し、シャワーを浴びるとそのままベッドになだれ込む。
HALUCAと契約してから一か月、仕事を続けながらヴォイストレーニング、ダンスレッスン、曲作り、打ち合わせに追われ、
充実感の一方で体力は限界に近づいていた。
まりあは契約直後、最初のPVで使う曲として、かつて夜の交差点で巨大な光を見上げた時に生まれた詩を選んだことを思い返す。
柴原はそれをあっさり受け入れ、制作担当者に仕上げを任せ、小川をまりあの専任マネージャーにする。
やがてまりあは、HALUCAの少人数体制で大きな計画が進む仕組みに疑問を抱く。
柴原は、多数のタスクをシステム上の「目に見えない部下たち」が処理していると説明する。
まりあは、自分の周囲で歌、映像、宣伝、数字、次の計画が巨大な渦のように動いていることを感じながら、静かな部屋で眠りに落ちる。
ありがとうございます。
では、また日を改めて、引き続きの002-16の文章を作成します。
こちらこそ、ありがとうございました。
002-15で、まりあがHALUCAの計画の中心に置かれ、いよいよ「あの場所」でのPV公開へ向かう流れが整いましたね。

次回は **002-16「Next Frontier」** ですね。
002-03でまりあが見上げる側だった場所で、今度は自分自身が見られる側になる、章前半の大きな山場になりそうです。

また日を改めて、002-16の試し書きから進めましょう。



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