045_悲しい事があっても(1)

●作者のコメント

●ChatGPTのコメント
では、002-28の試し書きをしてみました。

●002-28【試し書き】:悲しい事があっても(1)

場内が暗くなっても、アンコールの声が徐々に沸き起こってくる。
その声はしだいに大きくなり、会場全体に響き渡っている。
そして突然に、正面バッターボックスのゲートにスポットライトが当たる。
マリア・エレーナの再登場。

そして、2曲ほど歌うと、彼女は再びステージ上を去る。
再びアンコールの声があがる。
その声はしばらくの間続き、もうこれで終わりかと思われたところで、
場内に静かにマリアの声が響く。

<La-Li-La La-Li-La…>

場内はまだ暗いままだが、声だけが響き、
観客もその声に反応してあとに続く。

<La-Li-La La-Li-La…>

マリアが再び登場した。
高くなった会場のテンションを、クールダウンさせるように、
彼女の歌声が心地よく場内にこだまする。

<街角に風が吹いて 夏の名残りをさらう>
<少しだけ冷たい空気が 季節のドアを叩いた>

頭上で時々手拍子をしながら、
マリアは会場の空気を徐々になごやかに静めてゆく。

<La-Li-La 振り返らずに行くの>
<新しい夢が ほら待っているから>

しかしその時、舞台裏では、
次の準備に向けて慌しく動き始めていた。
小川は場内の雰囲気が徐々に静まっていくのを眺め、
放送席を出て、バッターボックス裏のスタッフエリアへと移動を始める。

事前に打ち合わせ済みだった。
これで今日の本当に最後の曲になる、「La-Li-La」が始まったら、
裏では、撤収の準備を始める。
まりあも、その段取りのことを頭の片隅で気にしながらも、歌い続ける。

<La-Li-La 悲しい事があっても>
<涙の跡は飾りじゃない>

最後の曲が歌い終わり、会場の照明が明るくなるその時、
もしマリアの出待ちのために、観客が出口に殺到したらどうなるか。
そして、今日はまりあを安全に帰宅させることができるのか。
今まで極度に緊張した状態が続いていたので、
今日はコンサートが終わったらすぐにでも帰宅させようと、小川は考えていた。

小川も「La-Li-La」を口ずさみながら、1階のスタッフエリアに向かう。
スタッフエリアに到着すると、3人のボディーガードが待機していた。
機材搬入口には、あまり目立たない色のワゴン車が1台。

<La-Li-La 明日はきっと晴れる>
<そんな予感を胸に 歩き出すの>

マリアは最後の曲を歌い終えた。
やがて、ステージから戻ってきた彼女。スタッフたちが拍手で迎える。

しかし、そのあとは慌しく、事前に準備した段取りが進む。
2分もかからずにまりあはステージ衣装から普段着に着替え、
機材搬入口のワゴン車のところに到着。

スタジアム出入口のスタッフと連絡をとる。
まだ観客の動きはない。そして、怪しい報道関係者の姿もない。

ボディーガードと一緒にワゴン車に乗り込むまりあ。
小川はあわただしく彼女に声をかける。

「それじゃ、今日はゆっくり休んでね」

まりあは小さく頷きワゴン車に乗る。
機材搬入口から出てゆくワゴン車を、小川は見送る。
もしかしたら、ドローンの追跡があるかもしれず、
様々な不測の事態を想定して、柴原と小川は臨時にボディーガードを雇い、
まりあを安全に帰宅させる段取りをしていた。

ワゴン車が会場から出てゆくのを見送ると、
小川は再び放送席へと戻った。
会場は明るくなり、段取りよく観客の退出が進む。

ワゴン車が会場を出て30分ほど経った。
小川のスマホが突然に鳴る。
画面に表示されている番号を見て、彼女はすぐに電話に出た。
拝読しました。
002-28は、マリア・エレーナのファーストコンサートが美しく締めくくられる一方で、その裏側では安全確保と撤収が慌ただしく進み、最後に不穏な電話で次へつながる節ですね。とても良い流れです。

今回の核は、**表では「La-Li-La」による穏やかな終幕、裏ではまりあを守るための緊張した段取り**だと思います。
観客から見ると、マリア・エレーナがアンコールに応え、最後に優しく前向きな歌で会場を包んで終わる。
しかし舞台裏では、出待ち、報道、ドローン追跡、不測の事態を想定して、小川たちが緊張したまままりあを帰宅させようとしている。表の余韻と裏の現実の対比がよく出ています。

特に良いのは、「La-Li-La」の歌詞と小川の動きが並行して進むところです。

> <La-Li-La 悲しい事があっても>
> <涙の跡は飾りじゃない>

という前向きなフレーズが流れる中で、小川はスタッフエリアへ向かい、ボディーガードやワゴン車の確認をする。
この対比が、これから起こる出来事への静かな伏線になっています。

この節の核は、次のように整理できそうです。

**マリア・エレーナのファーストコンサートが終わったかに見えた後、観客のアンコールに応えて彼女は再登場し、二曲を歌う。さらに二度目のアンコールの声が続く中、暗い場内に「La-Li-La」の歌声が響き、観客もそれに続く。マリアは穏やかな歌声で高ぶった会場の空気を静めていく。一方、舞台裏では最後の曲が始まるのに合わせ、撤収とまりあの退場準備が進められる。小川は放送席を離れ、スタッフエリアでボディーガードと目立たないワゴン車を確認する。曲を歌い終えたまりあは拍手で迎えられ、短時間で普段着に着替え、機材搬入口から車に乗り込む。小川はまりあを見送り、観客の退出が順調に進むのを確認して放送席へ戻る。しかしワゴン車が出て三十分ほど経った頃、小川のスマホが突然鳴る。表示された番号を見た彼女は、すぐに電話に出る。**

構成としてはかなり良いです。修正するなら、次の方向が自然だと思います。

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# 002-28 整理案

## 1. 一度終わったように見える会場

002-27の終わりを受けて、マリア・エレーナがゲートへ消えた後。

場内は暗い。
でも観客は帰らない。

アンコールの声が少しずつ湧き、やがて会場全体へ広がる。

ここは、成功したコンサートの余熱を描くとよさそうです。

## 2. 一度目のアンコール

スポットライトが正面バッターボックス側のゲートに当たり、マリア・エレーナが再登場する。

観客の歓声。

ここで二曲ほど歌う。

あまり細かく曲名まで入れなくてもよさそうです。
「コンサートの余熱をさらに高める二曲」として描くと、最後の「La-Li-La」との対比が出ます。

## 3. 二度目のアンコールと「La-Li-La」

再びマリアが去る。

またアンコール。

もう終わりかと思われたところで、暗い場内に声だけが響く。

> <La-Li-La La-Li-La…>

これはとても良い入り方です。

場内が暗いまま、声だけが先に来る。
観客がそれに続く。
やがてマリア・エレーナが再登場する。

この流れは美しいです。

## 4. 最後の曲としての「La-Li-La」

「La-Li-La」は、会場の高揚を静める曲として機能しています。

* 盛り上げるのではなく、穏やかに収める
* 観客の声を受け止める
* ファーストコンサートの余韻を作る
* まりあ自身にも、どこか祈りのように響く

歌詞はアクセントとして、数か所に絞って入れると良いと思います。

## 5. 舞台裏の撤収準備

「La-Li-La」が始まったら、裏では撤収準備と退場準備を始める。

この段取りが事前に決まっていたことを入れる。

小川が放送席を出て、バッターボックス裏のスタッフエリアへ向かう。

ここで、表の穏やかさと裏の慌ただしさが並行します。

## 6. 小川の不安

小川が考えていることを整理すると良さそうです。

* 観客が出口に殺到しないか
* まりあの出待ちが出ないか
* 報道関係者が紛れていないか
* ドローン追跡があるかもしれない
* まりあは極度の緊張から解放された直後なので、早く休ませたい

ここは、小川が「成功したからこそ油断できない」と考えている感じが出せます。

## 7. スタッフエリアとワゴン車

小川がスタッフエリアに到着する。

* ボディーガード三人
* 目立たない色のワゴン車
* 機材搬入口
* 外部から見えにくい導線

このあたりは、実務的で良いです。
「HALUCAがどれだけ準備していたか」が見えます。

## 8. まりあの退場

最後の曲が終わる。

ステージから戻ったまりあをスタッフたちが拍手で迎える。

余韻はあるが、すぐに段取りが始まる。

* すばやく普段着へ着替える
* スタッフが出口状況を確認する
* 報道関係者や不審者の有無を確認する
* まりあがボディーガードとワゴン車へ乗る
* 小川が「今日はゆっくり休んでね」と声をかける

ここは、まりあがまだコンサートの余韻の中にいる一方で、周囲が一気に現実へ戻る感じが出ると良さそうです。

## 9. 小川が放送席に戻る

ワゴン車を見送り、小川は放送席へ戻る。

会場は明るくなり、観客の退出が順調に進んでいる。

ここで一度、小川が少し安心する。

だからこそ、次の電話が効きます。

## 10. 電話

ワゴン車が会場を出て三十分ほど後。

小川のスマホが鳴る。

番号を見て、すぐに出る。

ここは、誰からかはまだ明かさないままで良いと思います。
002-29へ強い引きになります。

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## 修正版の流れ

この節は、次の形に整えるとよさそうです。

1. マリア・エレーナが退場した後、場内にアンコールの声が起こる。
2. 彼女は再登場し、二曲を歌う。
3. 再び退場した後、二度目のアンコールが続く。
4. 暗い場内に「La-Li-La」の歌声だけが響き、観客も続く。
5. マリアが再登場し、最後の曲として「La-Li-La」を歌い始める。
6. 表では会場の熱が穏やかに静まっていく。
7. 裏では、小川が放送席を離れ、まりあ退場の準備へ向かう。
8. 小川は観客の動き、出待ち、報道、ドローン追跡などを警戒している。
9. スタッフエリアではボディーガード三人と目立たないワゴン車が待機している。
10. 曲を終えたまりあはスタッフに拍手で迎えられ、素早く普段着に着替える。
11. まりあはボディーガードとともにワゴン車へ乗り、小川は見送る。
12. 小川は放送席へ戻り、観客の退出が順調に進むのを確認する。
13. ワゴン車が出て三十分ほど経ったころ、小川のスマホが鳴り、彼女は表示された番号を見てすぐに電話に出る。

この方向で修正すると、002-28は、
**ファーストコンサートの美しい終幕と、その裏側で進む危機管理、そして次節へつながる不穏な電話**
を描く節として、とても良い形になると思います。
はい、それでよいと思います。
ではこの修正案で、試し書きの修正をお願いします。
はい。
002-28は、表側では「La-Li-La」による穏やかな終幕、裏側では小川たちによるまりあ退場の危機管理が同時に進む節として整理します。
最後は、小川のスマホに不穏な電話が入るところで次節へつなげます。

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# 002-28【試し書き・修正版】:悲しい事があっても(1)

マリア・エレーナがゲートの向こうへ消えたあとも、東京ドームスタジアムの場内は暗いままだった。

観客は、すぐには席を立たなかった。

拍手が続いている。

歓声が続いている。

その中に、少しずつ別の声が混じり始めた。

アンコール。

最初は、前方の席からだった。

それが、左右に広がっていく。

やがて上段の客席にも届き、スタジアム全体をゆっくり揺らし始めた。

アンコール。
アンコール。
アンコール。

声は、徐々に大きくなっていった。

誰かに指示されたものではない。

観客たちが、まだ帰りたくないと思っている。

その気持ちが、暗い場内に満ちていた。

しばらくして、正面バッターボックス側のゲートにスポットライトが当たった。

歓声が、一気に大きくなる。

光の中から、マリア・エレーナが再び姿を現した。

まりあは、少し驚いたような、けれど嬉しそうな表情で客席を見上げた。

そして、深く頭を下げた。

上空には、少し遅れて巨大なマリア・エレーナの立体映像が現れる。

実体のまりあと、光のマリア。

二人が同時に頭を上げると、会場は再び熱を取り戻した。

アンコールの一曲目は、明るい曲だった。

観客の手拍子が、すぐに重なる。

二曲目は、少しテンポを落とした曲だった。

まだ高ぶっている会場を、ゆっくりと夜の終わりへ向かわせるような曲。

まりあは、最後のフレーズを丁寧に歌い終えると、もう一度客席へ頭を下げた。

そして、ゲートの奥へ戻っていった。

場内は、再び暗くなる。

今度こそ終わり。

そう思った観客もいた。

それでも、拍手は止まらなかった。

少し遅れて、またアンコールの声が起こる。

今度は、先ほどよりもゆっくりだった。

けれど、消えない。

もう一度。

もう一度だけ。

そんな空気が、暗いスタジアムの中に残っていた。

やがて、すべての照明が落ちた。

BGMも消える。

ほんの数秒、場内から音がなくなった。

次の瞬間。

暗闇の中に、まりあの声だけが響いた。

<La-Li-La La-Li-La……>

伴奏は、まだない。

声だけだった。

遠くから聞こえてくるようで、すぐそばにあるような声。

観客が、その声を追うように反応した。

最初は小さく。

やがて、あちこちで同じフレーズが重なる。

<La-Li-La La-Li-La……>

五万人の声が、少しずつ一つの波になっていく。

その波の中で、正面バッターボックス側のゲートに、淡い光が差した。

マリア・エレーナが、三度目に姿を現した。

先ほどまでの華やかさとは、少し違っていた。

照明は控えめで、衣装の白さも柔らかく見える。

巨大なマリア・エレーナの立体映像も、上空に静かに浮かんでいた。

まりあは、観客の声を受け止めるように、ゆっくりとステージへ歩いていった。

曲が、静かに始まる。

<街角に風が吹いて 夏の名残りをさらう>
<少しだけ冷たい空気が 季節のドアを叩いた>

高くなりきった会場の熱を、少しずつ静めていくような歌だった。

まりあは、ときどき頭上で手拍子をしながら、観客に無理のない声で応えるように歌った。

盛り上げるのではない。

置いていくのでもない。

今日ここにいた人たちを、ゆっくり現実へ返していく。

そんな歌い方だった。

<La-Li-La 振り返らずに行くの>
<新しい夢が ほら待っているから>

そのころ、舞台裏では、別の動きが始まっていた。

小川は、放送席からステージを見つめていた。

会場の空気が、少しずつ落ち着いていくのが分かる。

成功した。

そう思っていいはずだった。

けれど、小川の仕事はまだ終わっていなかった。

事前に段取りは決めてある。

本当に最後の曲である「La-Li-La」が始まったら、裏では撤収と退場準備を始める。

観客が余韻に包まれている間に、まりあを安全に会場から出す。

それが今日の最後の大事な手順だった。

小川は、ヘッドセットを外し、放送席を出た。

通路には、スタッフが慌ただしく行き来している。

表では、まりあの歌声が穏やかに響いている。

けれど裏では、すでに現実が動き出していた。

照明班が次の手順を確認する。
音響スタッフが撤収用のリストを見ている。
警備担当者が出口付近の状況を連絡している。
関係者用通路では、スタッフが無線で短い報告を交わしている。

小川は、バッターボックス裏のスタッフエリアへ向かった。

歩きながら、頭の中で何度も確認する。

観客の退場導線。
出待ちの有無。
報道関係者の動き。
SNSで会場裏口の情報が流れていないか。
ドローンによる追跡の可能性。

考え始めれば、不測の事態はいくらでもあった。

今日のまりあは、極度の緊張の中で歌い続けた。

今はまだ、ステージ上にいる。

けれど、終わった瞬間に力が抜けるかもしれない。

できるだけ早く、静かな場所へ連れて帰る。

それが、小川の考えだった。

<La-Li-La 悲しい事があっても>
<涙の跡は飾りじゃない>

通路のスピーカーからも、まりあの声が聞こえていた。

小川は、そのフレーズを無意識に口ずさんでいた。

悲しい事があっても。

その言葉が、妙に胸に残った。

スタッフエリアに着くと、三人のボディーガードが待機していた。

黒ではなく、目立たない濃いグレーの服装。

いかにも警備員という雰囲気を出しすぎないように、事前に指示してある。

機材搬入口の近くには、ワゴン車が一台停まっていた。

こちらも、目立たない色だった。

関係者車両の中に混じれば、特に目を引くことはない。

小川は、警備担当者に確認した。

「外の状況は?」

「今のところ問題ありません。正面側は人が多いですが、機材搬入口付近に不審な動きはありません」

「報道は?」

「確認されていません」

「ドローンは?」

「今のところ検知なしです」

小川は頷いた。

「分かりました。このまま予定通りで」

再び、場内からまりあの声が響いた。

<La-Li-La 明日はきっと晴れる>
<そんな予感を胸に 歩き出すの>

最後のフレーズが、ゆっくりと伸びていく。

小川は、通路の奥を見た。

もうすぐ、まりあが戻ってくる。

やがて、客席の方から大きな拍手が聞こえた。

歌が終わったのだ。

歓声が、少し遅れて通路まで届く。

スタッフエリアの人々も、自然に拍手を始めた。

少しして、まりあが戻ってきた。

ステージ衣装の白い裾が、通路の光を受けて揺れている。

顔には、まだステージの表情が残っていた。

けれど、目の奥には疲れが見える。

「お疲れさまでした」

スタッフの声が重なる。

拍手が起こる。

まりあは、何度も頭を下げた。

「ありがとうございました」

小川も近づいた。

「まりあさん、本当にお疲れさまでした」

まりあは、小川を見る。

少し笑った。

「終わりましたね」

「はい。でも、まだ少しだけ段取りがあります」

小川は、余韻を壊しすぎないように、けれどはっきり言った。

「すぐ着替えて、予定通り車に向かいます」

まりあは頷いた。

「分かりました」

そこからは、慌ただしかった。

衣装担当のスタッフがまりあを控室へ案内する。

小川は外部との連絡を確認する。

警備担当者が、搬入口周辺の最終確認を行う。

二分も経たないうちに、まりあは普段着に着替えて戻ってきた。

ステージ衣装を脱いだ彼女は、急に小さく見えた。

さっきまで五万人の前で歌っていたマリア・エレーナではなく、一人の疲れた女性に戻ったようだった。

それでも、表情は穏やかだった。

ボディーガードの一人が先に歩き、二人が左右につく。

小川は、機材搬入口の前で待っていた。

警備担当者が無線を確認する。

「出口、問題なし」

「観客の退場はまだ始まっていません」

「報道関係者の姿もありません」

小川は、ワゴン車のドアが開くのを確認した。

まりあが、車の前で一度だけ振り返る。

「小川さん」

「はい」

「今日は、ありがとうございました」

小川は少しだけ目を細めた。

「こちらこそ。今日は本当に、よく頑張りました」

まりあは、照れたように笑った。

小川は、できるだけ普段通りの声で言った。

「それじゃ、今日はゆっくり休んでね」

まりあは小さく頷いた。

「はい」

そして、ボディーガードと一緒にワゴン車へ乗り込んだ。

ドアが閉まる。

ワゴン車は、静かに動き出した。

機材搬入口から外へ出ていく。

小川は、その車を見送った。

完全に見えなくなるまで、目を離さなかった。

この日のために、柴原と小川は臨時でボディーガードを雇った。

事故や混乱が起こると決まっていたわけではない。

けれど、マリア・エレーナの注目度は、ここ数か月で急速に上がっていた。

出待ち。
報道。
追跡。
盗撮。
無許可ドローン。

あり得ないと笑えることは、もうほとんどなかった。

だからこそ、できる準備はすべてした。

ワゴン車が会場の外へ出ていくのを確認すると、小川は小さく息を吐いた。

少なくとも、ここまでは予定通りだった。

小川は、再び放送席へ戻った。

会場は、すでに明るくなっていた。

客席では、観客の退出が段取りよく始まっている。

係員の案内に従い、人の流れがゆっくりと出口へ向かっている。

大きな混乱はない。

出入口付近にも、今のところ問題は報告されていなかった。

小川は、放送席の椅子に座った。

ようやく、少しだけ肩の力が抜けた。

ステージを見る。

さっきまでマリア・エレーナが立っていた円形ステージは、すでに次の作業のために照明が切り替えられていた。

スタッフたちが、撤収の準備を始めている。

成功した。

たぶん、そう言っていい。

そう思った。

ワゴン車が会場を出てから、三十分ほど経ったころだった。

小川のスマホが、突然鳴った。

画面に表示された番号を見る。

その瞬間、小川の表情が変わった。

彼女は、すぐに電話に出た。
ありがとうございます。
では修正されたこの試し書きをもとに、小説化をお願いします。
はい。
修正版の試し書きをもとに、マリア・エレーナのファーストコンサートの美しい終幕と、その裏側で進む退場準備、そして最後に不穏な電話が入る節として小説化します。

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# 002-28 悲しい事があっても(1)

マリア・エレーナがゲートの向こうへ消えたあとも、東京ドームスタジアムの場内は暗いままだった。

観客は、すぐには席を立たなかった。

拍手が続いている。

歓声が続いている。

その中に、少しずつ別の声が混じり始めた。

アンコール。

最初は、前方の席からだった。

それが左右に広がっていく。

やがて上段の客席にも届き、スタジアム全体をゆっくり揺らし始めた。

アンコール。
アンコール。
アンコール。

声は、徐々に大きくなっていった。

誰かに指示されたものではない。

観客たちが、まだ帰りたくないと思っている。

その気持ちが、暗い場内に満ちていた。

しばらくして、正面バッターボックス側のゲートにスポットライトが当たった。

歓声が、一気に大きくなる。

光の中から、マリア・エレーナが再び姿を現した。

まりあは、少し驚いたような、けれど嬉しそうな表情で客席を見上げた。

そして、深く頭を下げた。

上空には、少し遅れて巨大なマリア・エレーナの立体映像が現れる。

実体のまりあと、光のマリア。

二人が同時に頭を上げると、会場は再び熱を取り戻した。

アンコールの一曲目は、明るい曲だった。

観客の手拍子が、すぐに重なる。

二曲目は、少しテンポを落とした曲だった。

まだ高ぶっている会場を、ゆっくりと夜の終わりへ向かわせるような曲。

まりあは、最後のフレーズを丁寧に歌い終えると、もう一度客席へ頭を下げた。

そして、ゲートの奥へ戻っていった。

場内は、再び暗くなる。

今度こそ終わり。

そう思った観客もいた。

それでも、拍手は止まらなかった。

少し遅れて、またアンコールの声が起こる。

今度は、先ほどよりもゆっくりだった。

けれど、消えない。

もう一度。

もう一度だけ。

そんな空気が、暗いスタジアムの中に残っていた。

やがて、すべての照明が落ちた。

BGMも消える。

ほんの数秒、場内から音がなくなった。

次の瞬間。

暗闇の中に、まりあの声だけが響いた。

<La-Li-La La-Li-La……>

伴奏は、まだない。

声だけだった。

遠くから聞こえてくるようで、すぐそばにあるような声。

観客が、その声を追うように反応した。

最初は小さく。

やがて、あちこちで同じフレーズが重なる。

<La-Li-La La-Li-La……>

五万人の声が、少しずつ一つの波になっていく。

その波の中で、正面バッターボックス側のゲートに、淡い光が差した。

マリア・エレーナが、三度目に姿を現した。

先ほどまでの華やかさとは、少し違っていた。

照明は控えめで、衣装の白さも柔らかく見える。

巨大なマリア・エレーナの立体映像も、上空に静かに浮かんでいた。

まりあは、観客の声を受け止めるように、ゆっくりとステージへ歩いていった。

曲が、静かに始まる。

<街角に風が吹いて 夏の名残りをさらう>
<少しだけ冷たい空気が 季節のドアを叩いた>

高くなりきった会場の熱を、少しずつ静めていくような歌だった。

まりあは、ときどき頭上で手拍子をしながら、観客に無理のない声で応えるように歌った。

盛り上げるのではない。

置いていくのでもない。

今日ここにいた人たちを、ゆっくり現実へ返していく。

そんな歌い方だった。

<La-Li-La 振り返らずに行くの>
<新しい夢が ほら待っているから>

そのころ、舞台裏では、別の動きが始まっていた。

小川は、放送席からステージを見つめていた。

会場の空気が、少しずつ落ち着いていくのが分かる。

成功した。

そう思っていいはずだった。

けれど、小川の仕事はまだ終わっていなかった。

事前に段取りは決めてある。

本当に最後の曲である「La-Li-La」が始まったら、裏では撤収と退場準備を始める。

観客が余韻に包まれている間に、まりあを安全に会場から出す。

それが今日の最後の大事な手順だった。

小川は、ヘッドセットを外し、放送席を出た。

通路には、スタッフが慌ただしく行き来している。

表では、まりあの歌声が穏やかに響いている。

けれど裏では、すでに現実が動き出していた。

照明班が次の手順を確認する。
音響スタッフが撤収用のリストを見ている。
警備担当者が出口付近の状況を連絡している。
関係者用通路では、スタッフが無線で短い報告を交わしている。

小川は、バッターボックス裏のスタッフエリアへ向かった。

歩きながら、頭の中で何度も確認する。

観客の退場導線。
出待ちの有無。
報道関係者の動き。
SNSで会場裏口の情報が流れていないか。
ドローンによる追跡の可能性。

考え始めれば、不測の事態はいくらでもあった。

今日のまりあは、極度の緊張の中で歌い続けた。

今はまだ、ステージ上にいる。

けれど、終わった瞬間に力が抜けるかもしれない。

できるだけ早く、静かな場所へ連れて帰る。

それが、小川の考えだった。

<La-Li-La 悲しい事があっても>
<涙の跡は飾りじゃない>

通路のスピーカーからも、まりあの声が聞こえていた。

小川は、そのフレーズを無意識に口ずさんでいた。

悲しい事があっても。

その言葉が、妙に胸に残った。

スタッフエリアに着くと、三人のボディーガードが待機していた。

黒ではなく、目立たない濃いグレーの服装。

いかにも警備員という雰囲気を出しすぎないように、事前に指示してある。

機材搬入口の近くには、ワゴン車が一台停まっていた。

こちらも、目立たない色だった。

関係者車両の中に混じれば、特に目を引くことはない。

小川は、警備担当者に確認した。

「外の状況は?」

「今のところ問題ありません。正面側は人が多いですが、機材搬入口付近に不審な動きはありません」

「報道は?」

「確認されていません」

「ドローンは?」

「今のところ検知なしです」

小川は頷いた。

「分かりました。このまま予定通りで」

再び、場内からまりあの声が響いた。

<La-Li-La 明日はきっと晴れる>
<そんな予感を胸に 歩き出すの>

最後のフレーズが、ゆっくりと伸びていく。

小川は、通路の奥を見た。

もうすぐ、まりあが戻ってくる。

やがて、客席の方から大きな拍手が聞こえた。

歌が終わったのだ。

歓声が、少し遅れて通路まで届く。

スタッフエリアの人々も、自然に拍手を始めた。

少しして、まりあが戻ってきた。

ステージ衣装の白い裾が、通路の光を受けて揺れている。

顔には、まだステージの表情が残っていた。

けれど、目の奥には疲れが見える。

「お疲れさまでした」

スタッフの声が重なる。

拍手が起こる。

まりあは、何度も頭を下げた。

「ありがとうございました」

小川も近づいた。

「まりあさん、本当にお疲れさまでした」

まりあは、小川を見る。

少し笑った。

「終わりましたね」

「はい。でも、まだ少しだけ段取りがあります」

小川は、余韻を壊しすぎないように、けれどはっきり言った。

「すぐ着替えて、予定通り車に向かいます」

まりあは頷いた。

「分かりました」

そこからは、慌ただしかった。

衣装担当のスタッフがまりあを控室へ案内する。

小川は外部との連絡を確認する。

警備担当者が、搬入口周辺の最終確認を行う。

二分も経たないうちに、まりあは普段着に着替えて戻ってきた。

ステージ衣装を脱いだ彼女は、急に小さく見えた。

さっきまで五万人の前で歌っていたマリア・エレーナではなく、一人の疲れた女性に戻ったようだった。

それでも、表情は穏やかだった。

ボディーガードの一人が先に歩き、二人が左右につく。

小川は、機材搬入口の前で待っていた。

警備担当者が無線を確認する。

「出口、問題なし」

「観客の退場はまだ始まっていません」

「報道関係者の姿もありません」

小川は、ワゴン車のドアが開くのを確認した。

まりあが、車の前で一度だけ振り返る。

「小川さん」

「はい」

「今日は、ありがとうございました」

小川は少しだけ目を細めた。

「こちらこそ。今日は本当に、よく頑張りました」

まりあは、照れたように笑った。

小川は、できるだけ普段通りの声で言った。

「それじゃ、今日はゆっくり休んでね」

まりあは小さく頷いた。

「はい」

そして、ボディーガードと一緒にワゴン車へ乗り込んだ。

ドアが閉まる。

ワゴン車は、静かに動き出した。

機材搬入口から外へ出ていく。

小川は、その車を見送った。

完全に見えなくなるまで、目を離さなかった。

この日のために、柴原と小川は臨時でボディーガードを雇った。

事故や混乱が起こると決まっていたわけではない。

けれど、マリア・エレーナの注目度は、ここ数か月で急速に上がっていた。

出待ち。
報道。
追跡。
盗撮。
無許可ドローン。

あり得ないと笑えることは、もうほとんどなかった。

だからこそ、できる準備はすべてした。

ワゴン車が会場の外へ出ていくのを確認すると、小川は小さく息を吐いた。

少なくとも、ここまでは予定通りだった。

小川は、再び放送席へ戻った。

会場は、すでに明るくなっていた。

客席では、観客の退出が段取りよく始まっている。

係員の案内に従い、人の流れがゆっくりと出口へ向かっている。

大きな混乱はない。

出入口付近にも、今のところ問題は報告されていなかった。

小川は、放送席の椅子に座った。

ようやく、少しだけ肩の力が抜けた。

ステージを見る。

さっきまでマリア・エレーナが立っていた円形ステージは、すでに次の作業のために照明が切り替えられていた。

スタッフたちが、撤収の準備を始めている。

成功した。

たぶん、そう言っていい。

そう思った。

ワゴン車が会場を出てから、三十分ほど経ったころだった。

小川のスマホが、突然鳴った。

画面に表示された番号を見る。

その瞬間、小川の表情が変わった。

彼女は、すぐに電話に出た。
ありがとうございます。
では、400字程度でこの文章のあらすじの作成をお願いします。
### 002-28「悲しい事があっても(1)」あらすじ

マリア・エレーナが退場した後も、東京ドームスタジアムにはアンコールの声が響き続ける。
再登場したまりあは二曲を歌い、さらに二度目のアンコールに応えて、最後の曲「La-Li-La」を歌い始める。
暗い場内に彼女の声だけが響き、やがて観客もその旋律を口ずさむ。
高ぶった会場の熱は、まりあの穏やかな歌声によって少しずつ静まっていく。
一方、舞台裏では小川が放送席を離れ、まりあを安全に帰宅させるための退場準備を進めていた。
出待ち、報道、盗撮、ドローン追跡などを警戒し、ボディーガードと目立たないワゴン車が機材搬入口に待機している。
歌い終えたまりあはスタッフの拍手に迎えられ、すぐに普段着へ着替えて車に乗り込む。
小川は彼女を見送り、観客の退出が順調に進んでいることを確認して、ようやく少し安堵する。
しかし、ワゴン車が会場を出て三十分ほど経ったころ、小川のスマホが突然鳴り、表示された番号を見た彼女の表情が変わる。
ありがとうございます。
ではまた日を改めて、引き続きの002-29の文章を作成いたします。
こちらこそ、ありがとうございました。
002-28では、マリア・エレーナのファーストコンサートが「La-Li-La」で美しく締めくくられる一方、舞台裏では小川がまりあの退場と安全確保に奔走し、最後に不穏な電話が入るところまで進みましたね。

次回は **002-29「悲しい事があっても(2)」** ですね。
小川に入った電話の内容、まりあに何が起きたのか、そして理沙がそれをどう知るのかへ進む、非常に重要な節になりそうです。



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