008_10_木星大気ブレーキ、過去の感覚(2)【あらすじ】

木星上層大気への突入により、「エンデヴァー」には減速Gがかかり始める。
理沙は居住区画の自室で身体を固定し、ディスプレイに映る船外カメラの映像を見つめていた。
ブレーキシールドの周囲には摩擦熱による光の帯が広がり、赤橙色の光が部屋の中まで差し込む。
その光景と振動、船体の軋み、身体を押さえつけるGが重なった瞬間、理沙の意識は過去の事故へ引き戻される。
発達した積乱雲の切れ目を狙って降下する小型シャトル、滑走路、反転するような感覚、炎、救助隊の気配。
途切れていた記憶の断片が、強い身体感覚とともによみがえる。
やがて理沙は現在へ戻り、減速Gがピークを越えたことに気づく。
アルヴィンの声が大気ブレーキ終了と船体異常なしを告げ、非常警戒モードは解除される。理沙は呼吸を整え、無言で次の行動へ移る。



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