土星への出発当日、コクピットには理沙とエドガーがいた。
エドガーがパイロット席、理沙が船長席に座り、二人は必要最低限の言葉だけを交わしながら出発前チェックを進める。
「エンデヴァー」は木星周回軌道を離れ、木星の重力を利用して加速し、進路を土星へ切り替える準備に入っていた。
理沙は、わずか4週間の木星滞在中に起きた多くの出来事を思い返し、「いろいろあったわね」と呟く。
エドガーは「これから、いい事あるでしょ」と応じ、二人の間に短いが自然な沈黙が流れる。
やがて船は木星の夜の側へ入り、外界の光が消える。
最終確認で各担当から「Go」が返り、船長の「では出発」という短い指示を受けて、理沙は推進システムを始動する。
100パーセント出力での加速が始まり、木星の縁から太陽が再び昇る。
理沙はその光を見つめ、「どこまでも真っすぐに、全速で」と呟く。
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