土星へ向けて出発してから1か月が過ぎ、「エンデヴァー」は航路の半分近くまで到達していた。
木星では、エウロパの無人探査機、ガニメデの無人着陸船、3基の灯台衛星による継続調査ミッションが進んでいるが、乗組員たちの意識はすでに土星へ移っていた。
会議室では誰もが「長征」の位置を気にしており、競争という単純な言葉では片づけられない緊張が船内に漂う。
理沙は船長と2人になった際、メリッサの件について確認し、もう大丈夫ではないかと話すが、船長の警戒は完全には消えていない。
やがて土星の環が肉眼でもはっきり見える距離となり、「エンデヴァー」は接近と減速を開始する。
「長征」はすでに土星大気ブレーキを終え、タイタンへ向かっていた。
船長とメリッサが大気ブレーキを担当し、理沙は後方席から2人を見守る。
非常警戒モードに入り、赤い光に包まれる中、理沙はメリッサに何事も起きないことを静かに願う。
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