土星大気ブレーキは大きな問題なく終了する。
木星の時ほど激しい負荷ではなかったものの、「エンデヴァー」は再び炎に包まれ、ブレーキシールドは土星上層大気との摩擦に耐えた。
メリッサが異常なしを告げ、非常警戒モードが解除されると、理沙は制御室へ向かうためコクピットを出る。
途中、中央通路の展望窓の前で足を止めた理沙は、船長の許可を得て保護シールドを開く。
そこに現れたのは、土星の雲海の上空を横切る巨大な環だった。
あまりの大きさに距離感を失い、理沙はその光景を前に息をのむ。
彼女の脳裏にはマリア・エレーナの「Next Frontier」のフレーズがよみがえり、思わず曲を再生する。
真空へ漂い出し、環へ手を伸ばすような想像に浸る理沙だったが、メリッサから仕事に戻るよう穏やかに呼びかけられる。
理沙は小さく笑い、余韻を胸に制御室へ向かう。
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