008_23_眩暈(1)【あらすじ】

タイタン到着から3日目、メリッサは着陸船の周囲を一人で歩き、小高い丘へ向かう。
エドガーとデイビッドは少し離れた場所で気象観測機器の設置作業を続けていた。
黄褐色の空、荒涼とした大地、遠くに見える土星の環。その風景を前に、メリッサは初めて来たはずの場所に奇妙な懐かしさを覚える。
やがて視界の中に、存在するはずのない基地施設や空港、旅客船の降下する光景が浮かび上がる。
気づくと彼女は受付ロビーに立ち、見覚えのある男と、もう一人の自分が親しげに歩く姿を目にする。
もう一人のメリッサは男をかばうように立ちはだかり、何かを叫ぶが声は聞こえない。
次の瞬間、その光景は砕け散り、エドガーの呼びかけでメリッサは現実へ戻る。
目には涙が浮かんでいたが、彼女自身にもその理由は分からなかった。



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