あらすじ_06_04
プロトタイプ宇宙船の設計が始まった。木星にはすでにNASAの有人宇宙船が到着しているのだが、今回の宇宙船に求められる仕様は
木星、土星に長期滞在し、惑星本体、衛星のセンサーシステムによる精密な調査。衛星への着陸。惑星本体への観測装置投下。
将来の定期航路開設のために、灯台となる位置情報衛星の設置等、実務中心のものばかりである。
地球・月間のL1ポイントでは宇宙船組み立て準備のために、作業ステーションの拡張が始まっていた。
今回の宇宙船建造にあたっては、過去5年間の宇宙関連予算の合計に匹敵する金額が毎年つぎ込まれることになっており、
その点について参加各国の政府内では見直しと批判の声が上がっていた。優先順位として宇宙関連予算はそれほど重要なものなのか。
気候変動による環境被害、拡大する一方の生活格差、環境汚染、それらへの対策のための費用はどうなってしまったのか。
しかし、将来の巨大な見返りを理由に、投資家からは莫大な費用が集められ、プロジェクトは淡々と進捗していた。