あらすじ_06_16


浮遊しているような感覚、暑さも寒さを感じない。音もなく暗闇の状態の中で時間の経過もない。
それでもなにかを見ているようだった。海岸近くの道路を歩いているようだった。夕方のようにあたりは暗くなり始めていて、
どこかで自分の名前を呼んでいるのが聞こえる。振り返ると母親だということがすぐに分かった。自分のことを引き留めようとしている。
理沙はなぜか歩き続けなくてはいけないと思っていた。何のためかわからないが。いつの間にか母親が目の前にいて理沙の手を引いた。
言葉ははっきりと聞こえなかったが、どうやらこのまま歩き続けてはいけないようだ。ぐいと手を引かれてすぐそばの坂を上がる。
自宅のようにも思えるが、庭の広さも物置の位置も違う。ドアをあけて部屋に入ると誰かが座って待っていた。
何時間も待たせてはいけないよと母親は言う。そしてイスに座ってテーブルの向かいに座っている人を見れば、昔東京で会った女性歌手だった。
彼女は別に驚くこともなく近所で買ってきたという食べ物を理沙に渡した。違和感を感じながらも2人は世間話をした。



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