あらすじ_06_19


生命を維持するための装置が、ひとつ、またひとつと理沙の体から取り外されていった。呼吸制御装置、心拍制御装置。
そして脳からの信号だけで自律的に生命を維持できるようになると、モニター用の最低限のセンサーだけになった。
脳波の信号波形からはいつ目覚めてもおかしくない状況だった。理沙は集中治療室から一般病棟の個室に移された。
ときどき夢を見ているのか、そのたびにベッドの上で体がもぞもぞと動き、小さくうめき声をあげている。
ある早朝、警報アラートがナースステーションで鳴った。医師と看護婦が理沙の個室に駆け寄る。
ドアを開けると、ベッドの上で理沙は上体を起こして窓の方を眺めていた。自分で剥がしたセンサーパッドがベッドの上に散らばっている。
ゆっくりと理沙は振り向いた。無表情ではあったが、視線はしっかりと医師と看護婦たちに向けられている。
白け始めた空、強烈な朝日が徐々に部屋の中に差し込んで理沙の事を照らしていた。



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