あらすじ_06_20
目覚めた翌日から理沙のリハビリが始まる。ベッドの上で体を動かすところから始まり、一人で立てるようになるまで約1か月。
立てるようになってから支えなしで歩けるようになるまでさらに1か月。しかし、歩けるようになっても突然に倒れてしまったり、
アクシデントは頻繁に生じた。脳と神経の間のインターフェイス受容量の精度が不安定だったり、調整が非常に難しいからだ。
対応としては生体側が慣れるしかなく、頭で思っていることを正確にコントロールすること。自分の体として動かせるようになるしかない。
体のリハビリと並行して、言葉で意思疎通するためのリハビリも進められる。単なるうめき声でしかなかった発声は、
3か月の訓練でようやく日常会話が普通にできるまでに回復し、半年でようやく一人で日常生活ができるようになった。
今日も理沙は病棟の廊下を歩く。しかしどうしても突然に倒れてしまう。手すりにつかまってよろよろと立ち上がる。
しかし、無表情だった目覚めの日から、今の理沙の表情は大きく変化していた。しっかりと意志を持って真っすぐに前を見つめている。