あらすじ_06_21


リハビリのために何度も歩いた廊下を抜けて、病院の玄関ロビーへ。外に出ると日差しがまぶしいのでサングラスをかける。
外を一人で歩くのは事故以来1年半ぶりのことで、怪我を気にしながらたどたどしく歩く心配は今はない。外の風は心地よい。
理沙はバス停でバスを待った。親子がすぐ脇を歩いて通り過ぎてゆく。子供が笑顔で手を振ってきたので理沙も手を振った。
バスの中でつい先ほどの主治医からの言葉を思い出し、出かけるべきだろうかと思った。正直に話すべきだろうかとの迷いもある。
いつも通勤で見慣れた住宅街が見えてきた。1年半の間で多少建物が増えたり減ったりしていたが、近所の風景は変わりない。
今日は休みのはずだと思い、降りたバス停から歩いて数分のところにあるリーダー男の家の前まで行った。
リーダー男は庭で芝刈り機を動かしていた。機械の音で理沙がやってきたことに気がつかない。ふと目を上げた時ようやく彼は気づいた。
サングラスをはずして、リーダー男に近づいてゆく理沙。バッグを置いて彼に抱きついた。



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