あらすじ_07_10
研究所のメンバーで、週末一泊のキャンプをすることになり、研究所から比較的近いアパラチア山脈に登ることにした。
理沙は体の限界を試す良い機会だと思った。不意のアクシデントには慎重になりつつも、山登りはいい気分転換になる。
士官学校で3人チームで課題に取り組んだ時のことを思い出した。お互いに手を取り合いながら日々の苦しい軍事訓練をこなし、
同僚訓練生からの理不尽な仕打ちにも、モチベーション高く乗り越えようとした。そして今日は研究所仲間と手を取り合いながら山を登る。
夜になると空気は一気に冷え込み、空の星が息づくようにきらめいている。アラスカで毎日のように見た光景だった。
一時は生死のふちをさまよい、いつ命を失ってもおかしくない局面もあったが、今では機械の体の助けを得て生き続け、仕事にも復帰できた。
米国本土に渡ってから13年の日々を振り返り、これから先、新しい体の助けを得てどこまで頑張れるだろうかと理沙は思った。
山の淵から三日月が昇り始めていた。三日月の方向にあるL1では探査船の建造が着々と進んでいた。