あらすじ_07_11


プロトタイプを使用したテストにより、次世代システムの仕様がようやく見えてきた。今までの制御システムと根本的に設計思想は異なり、
制御ロジックが根本的に異なるためだった。そもそも制御ロジックというものすら明確には定義されていない。
人間が自身の思考ロジックを理解していないのと同じことで、自身を理解していないものをロジック化できるはずがないという禅問答にも似ている。
理沙は支援輸送中佐から呼び出された。中佐は役割が増えて、軍側からの監督メンバーとして次世代探査船プロジェクトに参画することになり、
理沙も中佐の直下で次世代探査船プロジェクトを兼務することになった。もともと参画していたプロジェクトなので理沙にとって違和感はないが、
民間主導で実施したいと思っている中核メンバー側と、将来の輸送システムの中核技術を握っておきたい軍側との衝突が背景にはあった。
任務の完遂のみを考えることが軍人としての理沙の役目ではあるが、官民協働のプロジェクトとなり、
プロジェクト内および協力会社との調整も考えると、考えているようにうまくはいかない。面倒なことにならなければいいがと理沙は思った。



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