あらすじ_07_18
深夜の空港からシャトルが飛び立つ。理沙は数人の客しかいない客室を見回し、シートに再び深く座る。
1か月前に「エンデヴァー」の船長と会って、ミッション内容の説明を受けた時のことを思い出す。船長と理沙とは技術士官学校の卒業生という
共通点があった。理沙の次の期での入学だったが、理沙はある意味伝説の卒業生ということで船長の思いの中ではヒーロー的な存在だった。
卒業後は民間企業を経由してエネルギー省へ出向する立場となったものの、たった一度ではあるが訓練兵チームを打ちのめした出来事は
船長の思いの中に伝説として強烈に残っていた。まさかその理沙を乗組員として迎えることができるということは願っても無いことである。
しかし、当の理沙本人にはそんな感覚はなく、支援輸送中佐に振り回され、実際のところ無理やり乗船させられたという思いしかない。
船長との別れ際、握った手が異常に熱かったことが印象に残っていた。
夜の闇を過ぎて前方から太陽が昇ってきた。あさってには「エンデヴァー」に到着予定。期待と不安が混在した複雑な心境だった。