あらすじ_10_04
プランが先か、予算が先かと言われれば、プランが先なのが当然の事。しかし、本部の上層部に理沙が提出した概算要求額が破格の金額だったので、
予算は増額されず、小規模タスクチームを維持するのがやっとだった。システムのデザイン方針も未だに決められないでいる。
理沙は、タスクチームへ課題を与えるかたわら、自ら動き議員と接触して予算増額のための現実的な策を探っていた。
どの議員からも同じように言われたのは、月と火星への投資回収も終わらないうちに、なぜ木星なのかという意見だった。
月も火星も小規模ながら恒久的な居住拠点が確立していて、自立した生活は確立しているものの、社会基盤としては脆弱。
月では表面の土壌からのヘリウム3採取、南極の氷からの水資源確保が事業化していたが、投資の回収は道半ば、火星も似たような状況だった。
となると、あとは投資に対してのリターンの巨大さをアピールするしかない。月のヘリウム3採取はいずれは生産が頭打ちになる。
木星は月とは比較にならないほどの表面積の差と、木星より遠いところへの進出ための拠点、4大衛星を中心とした足掛かりがあった。