あらすじ_10_08


追い込まれても、決して焦らずに落ち着いて対応するのが肝だと、理沙は支援輸送大佐が本部を去る時言っていたのを思い出した。
追い込んでいる相手は、最後のとどめをと思って襲い掛かってくるかもしれないが、その時こそ相手が油断している時。
タスクリーダーは、木星大気採取プラントと原子力ラムジェット機が次々に増殖をしていくところを映し出した。
自動増殖するプラントたち。その源は自己を複製してゆくロボット達で、数学者の思考実験の中から生まれたオートマトンが先祖であるが、
具現化することは技術者たちにとって究極の目標であった。これがあればどんな巨大な構造物も、たった一組のロボットから始める事ができる。
コストは最初の一組のロボットを作る時だけで、そのあとはロボットが増殖することに任せておけばよい。
しかも、制御プログラムを置き換えるだけでどんな目的にでも対応できる。宇宙船の建造から、惑星のテラフォーミングまで。
木星の大気採取プラントの場合であれば、計算上ではあるが数万のプラントを数年で作り上げる事が可能だった。



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