あらすじ_10_11
事業団参画企業に対する、木星ヘリウム3生産事業についての説明会が行われる。参画企業のトップや技術担当者の前で理沙は立体映像を見せ、
事業化プロセスの全容について説明した。20年間のマスタープランの説明のあとは、タスクリーダーによる技術的な説明が続く。
生産プロセスの要となる大気採取ラムジェット機と、木星低軌道精製プラントについては各社から技術的課題についていくつか質問があったが、
タスクリーダーだけで淡々と対応していた。問題はプラントを大量に建造するための自己複製ロボット技術についてだった。
理沙は会場の隅にいる、先日訪問した航空機メーカーのトップの表情を遠くから眺めた。先日会って会話した技術者は会場にはいない。
自己複製ロボットについては、想定通り技術的ハードルの高さについての質問と、時期早々だというトップの意見が大半だったが、
その間も、その航空機メーカーのトップは腕を組んで会場の質疑応答を聞き入り、同席した役員と何かを会話していた。
全体としての会場の雰囲気はネガティブであり、あきらめの表情のトップもいたが、まずは反応を見る事ができただけでも収穫だと理沙は思った。