あらすじ_10_14


粘り強い参加企業との打ち合わせが功を奏したのか、木星ヘリウム3事業の要求技術仕様は確定し、各企業での具体的検討が始まった。
タスクメンバーの働きはようやく安定し、過労により倒れることもなくなった。理沙の心労がたまる事もなくなってきた。
要求技術仕様に対する各企業から回答が次々に寄せられ、全体の要求予算額が精緻化された。とはいえ事業団予算の大半を占める膨大な額だが。
事業団の年度予算は議会に提出され、満額とはいかなかったものの木星ヘリウム3事業には正式に予算がついた。
米国の好景気、中国に代わり世界一の人口のインドとの平和が後押しとなった。中国が崩壊し縮小してからは資金と優秀な人材は米国に集中した。
木星ヘリウム3事業の最大の課題事項である、自己増殖ロボットについては、理沙が目をつけていた航空機メーカーが担当することになり、
中核技術となる、自己複製金属の実験が既に始まっていた。理沙のかねてからの夢であった構想は、事業化に向けようやく具体化した。
理沙はタスクメンバーの労をねぎらうためにホテルを借りてパーティーを開催した。久しぶりでパーティードレスを着た理沙にメンバーは度肝を抜かれた。



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