あらすじ_10_17
開口一番、支援輸送大佐は理沙の父親が亡くなったことを告げた。2か月ほど前、茨城の研究所で仕事中での突然死したとのことだった。
忘れかけていた父親の事を、支援輸送大佐から突然告げられ、理沙はしばらく言葉が出なかった。ようやく口を開いて出た言葉は、
なぜ自分に対していろいろと気にかけてくれているのか、という支援輸送大佐に対していつも抱いていた疑問だった。
支援輸送大佐はただ一言、あなたの父親にいろいろと世話になったから、とだけ理沙に言い、再び2人は店の中に戻った。
酔いが醒めてしまった理沙は、支援輸送大佐に別れを告げて家に戻ることにした。タクシーで家に戻る間も、父親の死を他人事にしか思えず、
翌日も執務室で悶々としてしまった。L3での作業プラットフォーム建造は部下がすべてコントロールしてくれている。
理沙の手元からは徐々に現場と直結した仕事が離れてゆく。部下の働きを非常に頼もしいく思えたが、なんとなく寂しさも感じる。
その後も執務室で作業進捗を監督するだけの日々が続く。木星ヘリウム3事業の実質上のトップとなった理沙は、いま力を持て余していた。