あらすじ_11_03
木星の資源開発は、宇宙開発局配下のプロジェクトであるとともに、エネルギー安全保障の観点から、エネルギー省の管轄でもある。
現場の監督は部下に全面的に任せ、部下から定期的に上がってくる報告を取りまとめ、政府の担当者に報告するのが理沙の役目である。
このところ数か月の部下からの報告は芳しくなかった。一番のボトルネックは改良型の原子力ラムジェットの開発遅延で、
木星で「エンデヴァー」がテストしたプロトタイプとは異なり、本格生産に対応する仕様を満たすと同時に、大型化が行われ、
技術的なハードルは格段に上がった。政府の担当者には淡々と説明するしかないが、マスタープランからの遅延を担当者から細かく指摘される。
こんな時には慌てず、部下には各自の信念に任せて思い切りよく仕事をさせて、自身は割り切ってプレッシャーに潰されない事。
帰宅は日付が変わる頃になるのが常態化していた。自宅で仕事をしても良いのだが、翌朝になると自然と事務所に足が向かってしまう。
帰宅すると、孫娘がテーブルの上に置いていったお菓子が目についた。待ちくたびれている孫娘の顔が思い出された。