あらすじ_11_09
その後の1年近くを、理沙は3つの生産プラントの構築とともに過ごし、気がつけば木星への出発の準備をする時期になっていた。
出発に向けて、生活に必要な荷物をまとめて、輸送用コンテナに積み込む準備をする。荷物制限は「エンデヴァー」の頃より緩くなっていた。
自分の身の回りのものを見直すいい機会だと、理沙は孫娘に手伝ってもらい断捨離を始めた。着るつもりで買った服が思ったほどたくさんあり、
孫娘には見て気に入ったものを持って行ってもらい、不要なものを整理した結果、部屋の荷物が劇的に減った。
輸送用コンテナを空港に送り出し、出発の前夜は早めに帰宅すると、最後の晩餐と称して孫娘と一緒に食事に出かけた。
半年家を空けるので、もしよければ自分のベッドで寝てもらってもいいと理沙が言うと、孫娘が喜び半分の複雑な表情だったので、
なんとなく気になったが、それ以上は深く追求することはしなかった。この年頃で真っ先に考える事といえば想像がついた。
翌朝は夜明け前からトランク1つで空港に向かう。なぜか普通の旅行気分と変わらずそれほどの高揚感もない。