あらすじ_11_12


やはり現場が性に合っていると、理沙は改めて思った。木星の作業プラットフォームに到着し、常駐していたリーダーから引継ぎを行うと、
現場の作業状況が手に取るようにわかるのが非常に楽しかった。現場の200名以上の技術者たちの間には本部では感じる事のできない熱気も。
協力会社の技術者からは日々山ほどの課題事項の報告を受けるが、理沙にとってはタイムラグのない現場でのやりとりがかえって刺激的で、
理沙の即断即決も協力会社からは非常に好評だった。生産プラントが木星に到着する日のコントロール室の緊張はただならぬものがあったが、
特に問題もなく生産プラントは、作業プラットフォームに連結され、作業員は生産プラントと原子力ラムジェット機の稼働に向けた準備を行った。
生産プラントを木星低軌道へ投入する前日、理沙は各協力会社のリーダーと集まり、作業の段取りの最終確認を行い、
その後、作業プラットフォームの全員が食堂に集まり、景気づけのためのパーティーを行った。
自分の頭の中で考えていたことが、具現化され、沢山の人を巻き込んで現実のものになろうとしている。その夜理沙はなかなか寝付けなかった。



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