あらすじ_11_13
生産プラントを木星周回低軌道に投入し、指令室からのリモート操作でプラントの稼働状況を確認。翌日には原子力ラムジェット機を稼働させる。
指令室のコマンド席で理沙はいったん場内を見渡し、作業開始を告げた。スケジューラーが機械的な口調で手順を復唱する。
原子力ラムジェット機は木星上層大気に突入し、翼の前縁が炎に包まれながらも大気を機内に取り込み、圧縮して翼内のタンクに収納する。
初回の稼働テストは問題なく完了した。生産プラントに帰還すると採取したヘリウムと水素の混合気体をプラントに送り込む。
プラントはヘリウム3を抽出してタンクに収納し、水素は原子力ラムジェット機の推進剤に利用するために別のタンクに収納する。
生産を想定した一連の工程のテストは無事に完了し、指令室の作業員皆のテンションは上がっていた。
テストは徐々に高度な段階に進む。本格生産においては、より低い軌道に降下して、より密度の高いヘリウム3を採取するのだが、
原子力ラムジェット機はさらに過酷な状況に耐えなくてはならない。最高度の緊張状態の指令室で、理沙は落ち着いた口調で作業開始を告げる。