あらすじ_11_18


つい数日前、理沙と会話した時の事を、「エンデヴァー」元船長は思い出していた。不動産業に手を出したのはまだ最近のことだが、
良いアドバイザーと資金協力者に恵まれて、今や地球上だけでなく、月と火星の不動産ビジネスも順調で、毎年事業を拡大していた。
これもすべては夢の実現のためで、理沙にはもし軍を退役することになったら、その後は自分の会社に役員として来ないかと声をかけておいた。
今頭の中にあるのは、2年後の大統領選のことだけで、資金どのように投入して有権者にアピールするか、毎日アドバイザーと議論をしている。
この国は今のところ好景気だが、いつ負のスパイラルに飲み込まれるかわからない。調査会社からはその時が近いという分析結果が出ていた。
その負のエネルギーをいかにして自分を有利にするために利用できるか。富の集中と格差をいかにして選挙戦で味方につけることができるか。
広告塔となる人物が必要だと思い、理沙に声をかけてみたが、あまり積極的な返事はなかった。
選挙には陰ながら力になりたいと理沙は常に言っていたものの、前面に立ちたくない理由は何なのだろうかと思った。



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