あらすじ_11_21


木星でのヘリウム3生産が始まったものの、報道関係者からのコメントは辛らつなものばかり。血税のムダ使い、太陽系の自然破壊と。
そんな雑音のようなコメントにいちいち対応する気はなく、理沙は改良型の原子力ラムジェット機の完成と大量生産だけに注力していた。
技術的なメドがついたということで、理沙は航空機メーカーの技術者から呼ばれて打ち合わせに参加し、技術的改良点の説明を受けた。
太陽/地球L3で建設中の自動化プラントでの大量生産も考慮した、船体構造の簡素化、苛酷な木星環境に対応するための基幹素材の改善等、
準備は既に完了し、近々に生産プロトタイプが完成するとのこと。噂では社内的には金食い虫と言われ背水の陣だということは聞いていたが、
理沙は本部内の反対論者を説き伏せ、技術者たちが必ず実現してくれると信じ、報道関係者からは完全隔離した。
木星の生産プラントCでは、3カ月間のプラント稼働の結果、最初の製品出荷が可能な状態になった。
ヘリウム3と水素のタンクモジュールを多数連結した輸送船は、作業プラットフォームAに向けて出発。実績は着々と積みあがっていった。



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