あらすじ_12_04
政府の予算委員会では、生産が本格化しない木星のヘリウム3事業に対して、野党議員から強烈な追及が行われていた。
追及の場で決まって持ち出されるのが、弱者である庶民の雇用と教育予算に対するしわ寄せで、原子力ラムジェット機1機につき失われた教育予算。
算出根拠は理沙の目から見れば穴だらけの全くのでたらめで、自身が議会の場に出頭して野党に反論したい気分だった。
エネルギー省の担当者には、今後の生産計画と予算については説明済みで、改良型ラムジェット機が本格生産されればフル生産体制は可能だと、
念押ししてあった。野党のくだらない追及は見る価値もないので別なニュース番組を見ると、今度は政府に対するデモ行進。
単に仕事よこせなのか、働きたくないのだが雇用保険が支給されなくて怒っているだけなのか、こちらも見るに堪えない。
世の中には社会のために、危険を冒し身を粉にして働いている人がいる事を知ってもらいたいと理沙は思った。
スクリーン画面を消して、理沙は家を出た。来月定年退職する協力会社リーダーに何か記念品を買おうと思っていたところだった。