あらすじ_12_07
2機の改良型原子力ラムジェット機が納入され、ちょうどタイミングよく木星へ戻る予定のヘリウム3輸送船に運んでもらうことになった。
理沙は後を追うような形で木星へ出張に行くことになっている。改良型のラムジェット機のテストが無事に終われば事業は軌道にのるはず。
軍から事業団に出向に行ってから30年。どちらかといえば向かい風の時の方が多かったが、自分の思い通りの事ができて、
利益も不利益も自身にすべて自分の腕次第という今の生活は、自分の性に合っていたと理沙は改めて思った。
あとは後輩たちに今後の道筋を作り、事業をさらに拡大、発展させてもらうだけだ。理沙は解決すべき最大の問題に今の段階で取り組もうと思った。
事業団本部の多数の人員と頭脳、協力会社の全面的な協力のもとに実現させたこの事業は、まだ投入されたコストに対しての見返りはまだない。
景気がまだまだ上向きに見える合衆国だが、先行きムードだけに吊り上げられた市場価値と、政府の資金によって成り立っていた。
いつその好景気が終わるかもしれず、一度崩壊が始まれば合衆国どころでなく全世界が崩壊することは、言いたくても誰も言い出せない。