あらすじ_12_11
限界性能テストが完了し、今回の出張の主な目的は終わった。本格生産体制への一番の難関を超えたので、今後理沙が木星に来る必要はない。
地球への帰還前日に、引継ぎ事項を後から来た交替メンバーに伝えるとともに、作業員全員が集まる場で理沙は感謝の言葉を述べた。
長官からは、今回の出張に先立って、本格生産体制における人員体制について意見を交換していた。
長官はコスト削減の観点で、極力自動化した生産体制を考えていた。生産が軌道に乗った後は最小限の人員のみで運用すればよいと。
理沙もコスト削減は重要と考えていたが、太陽系深宇宙の発展も考えて、木星の作業ステーションをさらに拡張して交易の港に昇格させ、
資源供給の要とするだけでなく、人々が交流し、土星より奥深い太陽系の調査・開発を行う、栄えた場所にすべきだと述べた。
木星を太陽系内のハブにするというアイディアを最初に思いついた時には、まだそこまで考えが発展していなかったが、
構想が具現化し、沢山の人々を動かし、技術者たちの働きを見ながら理沙は確信した。ここを血の通った栄えた場所にすべきだと。